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何度も何度も迷った。ひょっとしたら、ワタシがしてる事はただのお節介なんと違うか?
いや、ひょっとしたら大人達の大きくて深い…ひょっとしたら少し…違うな…ものすごく思惑をかき乱そうとする事になるんかいな…
ええぃ、ちゃうわ。こんな時、たかみなさんなら後先考えんと、一番にメンバーの事を考えて動いたはずやろ?

「さや姉、なんか怖いよ。独り言ならもう少し小さな声で言わないと。」
「あ、玲奈さん。え?ワタシ…口に出てましたの?いや~良くみんなに言われるんですわ。彩は頭の中で考えた事がそんまんま声に出るって。考え事してるといっつも…」
青山一丁目の奥まった住宅街にひっそりと店を構えるイタリアンレストラン。普段は大阪と名古屋で離れて過ごす二人が東京に出て来た時に食事をするのは、いつも決まってココだった。
最初に誘ったのは、山本彩の方だった。突然の誘いに戸惑いながらも、色々と調べて店を決めたのは玲奈。それ以来二人は頻繁に会って色んな話をする仲になっていた。
熱いリーダーシップを前面に出し、メンバーを引っ張っていく山本と、ぱっと見はそう見えなくても、誰より熱い思いでメンバーをリードする玲奈。AKSのIPOを機にやや距離を置き始めていたSKEとNMBであったが、二人の信頼関係は強くなる一方であった。

「金子さんがなぁ…ワタシからしたら、そんな悪いヒトと違う…そう思うけ…いや、ちゃうな。思いたいだけなのかもしれませんわ。玲奈さん、あんまり簡単に大人を信用せんほうがええような気がします。」
「だよねぇ…。でもさ、メンバーみんな、他に頼る手段がないのよね。じゃないと、あんな大金、どうやって今すぐ返せるかなんて。」
「あの、良く分からんのですけど、要はSKEのメンバーが吉本と契約するって事になるんですか?」
「正式にはさや姉達が所属してるトコとは別のトコみたいなんだけどね。ソコと契約したら、AKSへの借金はそこが返してくれる事になるみたい。」
「契約内容は?ちゃんと契約書詳しく読んだほうがいいですよ。また、変な内容があったら…」
「だよね。その辺りはちゃんとみんなに言い聞かせた。」

二人は声をひそめて話を続けた。平日の午後、ランチタイムを過ぎ店内に他の客の姿は疎らだった。
それでも、どこで誰が聞いているかわからない。
二人を知ってる者がその場を見たら、松井玲奈と山本彩は只ならぬ関係に違いない…そう誤解を生んでしまいそうな程、二人の距離は近づいていた。

「玲奈さん…今回の件、ちゃんとした専門家に絡んでもらった方がええんと違いますか?」
「専門家?弁護士とか?」
「でもなぁ…また、どこでどう秋元先生筋と絡んでくるか、わからんですしねぇ…」
「さや姉…やっぱり、今度の事、先生が…」
「しっ」
玲奈の言葉を山本が途中で遮った。
黙ったままゆっくり頷く。
「専門家…かあ。あ、あの人はどうなんだろう?」
「あの人って?」
「ああ、証券会社の人。東京セントラル証券の部長さんと課長さん。前にこうなる前に色々な事教えてくれたの。」
「証券会社?ダメですよ。そんなん。今回諸々を仕組んだ張本人と違いますか?」
「うん…そうなんだけど…そうなんだけどね。何となくあの人ならって思っただけ。」
「玲奈さん…玲奈さんのイイとこは、人を心から信用出来る事だと思います。ほんまそういうトコ、尊敬します。でも…時々人が良すぎると思う事もあります。でも…」
「でも?」
「羨ましいです。そんな純粋な人、ワタシの憧れなんです。玲奈さんは。」
「なんか、今日のさや姉変だなぁ。でも、とにかく一回会ってみようと思う。何かヒントが見つかるかもしれないし。大丈夫、もう簡単に大人なんて信用しないから。」
「わかりました。玲奈さんがどう言うなら、ワタシもそうした方がいいと思います。」
「ありがと。さや姉、大好きだよ。」

大好き…山本は玲奈にそう言われて頬を赤くした。
この人はわかってるんだろうか?面と向かって、大好きなんて言われたら、誰でもこの人の事を好きになってしまう。そんな魅力を持ってるからこそ、松井玲奈という女性はトップアイドルであり続けるのだと。


「指原さん、大丈夫なんか?玲奈さんが言うとった証券会社の人って、あのオトコやろ?」
「そう。半沢ってオトコ。あの人は確かに厄介だけど、でも大丈夫。もう、ニッチもサッチもいかなくなってるはずだから。それよりも、こっちだよ。外堀は埋まったんだから、きっちり後は内堀も埋めとかないと。」
「ホンマ、コワイですわ。指原さん、アイドルなんかやってないで、その道進んだ方が絶対大成しますわ。」
「何言ってるの?私はもう自分の事、アイドルなんて思ってないよ。そっちは、アンタ達に任せるわ。」
指原が吹きぬけになっている店の2階テラスから、下を見下ろして言った。
先ほどまで山本と玲奈が座っていた席が見える。

「お連れ様がお見えになりました。」
「ありがとうございます。こちらに案内して頂けますか?」
指原が一万札を折り畳んでウェイターに差し出した。
「こ…こんなには頂けません。ご…ご安心ください。指原様がお見えになっている事なんて、決して松井様や山本様には申し上げませんから。」
「まあまあ。お堅い事は言わずに…」
「あの…それなら、一つ我儘なお願いをしても宜しいでしょうか?」
「何ですか?」
「宜しければ、サインなど頂けたましたら…あと、握手も…」
「そんな事でいいんですか?いいですよ。はい…」
指原が笑顔で両手を差し出した。
「いえ…あの、渡辺様…と。そして、今お見えになった須田様と…」
「なんだぁ。アナタ、みるきーとあかりん推し?」
「は…恥ずかしながら、毎回握手会には行っておりまして…」
「さすがだねぇ。釣り師ってホント、スゴイんだ?」
「はい、ありがとー。そんな風に美優紀の事思ってもらえてるなんて、ウチ幸せや~」

「ひゃ~参ったわ。ほら、もう一人来ちゃったし…」
須田亜香里が、階段を笑顔で上がってきた。

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