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「今回のIPO(株式公開)で一番得をする人物…ですか?」
「そうだ。若林、お前はどう思う?」
朝早い新幹線だが、座席はほぼ満席だった。景気が良くても悪くても、日本のビジネスマンというのは本当に良く働く人種だ。もちろん半沢も若林もその中の1人なのだが。
「う~ん…そういや真剣に考えてみた事がなかったですね。普通は、まず創業者利益って事で大株主であるオーナーが得をするっちゃあしますよね。それから、会社の信用度が上がって資金調達がしやすくなるとか、社員の採用がしやすくなるとか。ただ、AKSの場合、実はそこが見えてこないんですよね。秋元先生も窪田社長も大株主の京落も、特にIPOする事で大きなメリットがあるようには思えないんですよ。」
若林の答えに半沢は頷いた。
「あとは…社員ですかね。今回は恐らく公開までの時間が短くなりそうなので、従持での株式取得が余り進まないでしょうからかなりストックオプションを出す予定にしてますよね。そこがちょっと気になる点といえばそうですかね。あまり乱発すると公開後の売り圧力になってしまいますから。」

公開前の株式を買う事は、その事自体が詐欺に悪用されるなど、非常に経済的メリットが大きい。特にもともと知名度が高く人気が出る事が予想される銘柄の場合はなおさらだ。市場で買うには、その銘柄の人気や期待度を含め値段が高くなる事が定石である。本来株式というものは「額面」といって、株券に記載されている値段が「定価」だ。普通は50円である事が多い。それが、上場すると500円とか1000円とかの値段がついて取引されるようになる。ネットバブルと言われた2000年初めには、50円額面の株が数万円まで暴騰した事もある。AKSの場合もその知名度と話題性からしたら、相当の値段がつく事が予想される。それを公開前に額面で買える従業員持ち株会や、額面とまでいかないが、かなり低い価格で買う事が出来るストックオプションの権利はとても価値のあるものだ。

「それで…どうだ?この間からメンバーの話を聞いてみて。」
「ええ…今回、彼女たちは厳密に言うと社員ではありませんが、まあそう考えていいと思います。でも、正直IPOそのものには殆ど期待感というものが感じられません。いえ、むしろ…部長がおっしゃってたリストラですか。そう言われて僕もはっとしましたよ。明らかに不安感を持ってますね。特に中堅というか、キャリアが長めの…」
「干され…か?」
「え…ええ。そうです。干されてるとされるメンバーから、その不安感を強く感じます。」
「若林…AKBグループの勢いってどこまで続くと思う?」
「勢いですか?」
「ああ。いいか、若林。銀行が金を貸す時も同じなんだが…大事なのは、今どうなのかよりもむしろ…」
「この先どうなるか、でしょ?わかってますよ。部長。IPOだって同じです。将来性をどう判断するかが大事なのは僕達企業部の仕事も同じですよ。今のAKBグループで一番の課題が実はそこにあるっていうのも良くわかってます。だからこそ、今僕達は名古屋に向かってるんでしょ?あのIIの部に書かれてた事業戦略の意味を確かめる為に。」
「俺は支店の事はまだそんなに詳しくない。SKEはお前の方が詳しいだろう?頼むぞ。」
「ええ。まずは、今日のKII公演を見る事からですよ。KIIはいいですよ~。なんたって今日はフルメンですしね。」
若林の目が輝きを放った。

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