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「どうでした?優子さん。秋元先生、なんて…?」
柏木由紀が戻ってきた大島優子を待ちわびていた様子で迎えた。
大島はクッションのきいたソファに体を預けるようにして腰掛けた。
「ゆきりん、なに飲んでるの?あ、すみません。ビールお願いします。」
柏木の質問には答えず、大島はしばらく腕を組んだままバーの天井を見上げた。

「ぷっはー。あーちくしょー、なんでこんなムシャクシャしてるのにビールって旨いかなぁ?」
「もう、優子さんったら。でも、私も飲もうかなぁ。」
「焼酎?芋でしょ?」
「違いますよ、もう鹿児島人でもカクテルくらいは飲みますから。」
柏木は軽く片手を上げてウエイターを呼び寄せた。

「やっぱりダメだった。もう少しだけ待ってくれの一点張り。」
大島が柏木の質問に答えたのは何杯か飲んだビールが日本酒に変わった頃になってだった。
「ですよね。なんとなく、そうじゃないかって。」
「ゆきりんは?もう切り出したの?」
柏木も大島の質問に静かに首を振っただけだった。モスコミュールのカクテルグラスを口元に運ぶ。
「正直、今を逃すとダメだと思うんだよね。それに、卒業はタイミングを決めるのはお前ら次第だってずっと言われてきたじゃない?それが、何?今はその時じゃないって。」
「そうですよね。秋元先生、私達にこのままAKBに残って何をしなさいって言うんでしょうね?」
「っていうかさ、私達、むしろこのまま残ってちゃダメだと思うんだ。それは、私達の為じゃなくて後輩の為にもね。私達がAKBにいる限り、世間の目線はAKB=大島優子。AKB=ゆきりん…いつまでたってもそのままなんだよ。私達はもう一人一人で歩いてかなきゃいけないんだよ。」

大島も柏木も…重要メンバーの高橋みなみも小嶋陽菜も…卒業間近と思われたメンバーは、篠田麻里子、板野友美、秋元才加の卒業からもうまもなく1年経とうとしてる今もAKBに残ったままだ。
世代交代は最早お題目にすぎないのか?とすら言われ始めていた。

「事務所はなんて言ってます?」
「事務所?ゆきりんのトコも同じでしょ?先生の許可がなきゃってさ。なんか、最近発言力がどんどんなくなってる気がするんだよね。」

ぴろぴろぴろぴろ

大島の携帯から着信音が響いた。ほぼ同時に柏木の携帯からも。
二人が同時にスマホの画面に目を落とした。

「明日来いってさ。湯浅さんから」
「珍しいですね。こんな前日の夜遅くに明日の急な呼び出しなんて。」
「だね、湯浅さんからってのがね。なんだっけ?あの人の新しい役職。」
「あーなんとか準備室室長とか…汐里がいるトコ」
「ああ、なんか上場会社になるんんだっけ?たかみなが言ってた」

どうせ、またどこかのお偉いさんへの挨拶なんだろう…
大島と柏木はそんな感じの目配せをしてそれぞれのグラスを傾けた。


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