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「これは奇遇だ。半沢君…おおっと失礼。半沢部長。また、こうして会えるとは思っていなかった。話は先程から聞かせて頂いていた。実に素晴らしい。君はどうやら銀行員としてよりも、エクイティファイナンスを生業にした方が向いていたのかもしれないねぇ」
「大和田…取締役。何をおっしゃりたいのかわからない。それに、今は部として重要な会議を行っています。公開予定の企業の情報も上がっている。機密性の高さも認められるものです。即刻退室願いたいですね。」

「部長…この方は?」
若林が半沢の顔を覗き込むようにして聞く。
「東京中央銀行の大和田取締役だ。もう一度、申し上げます。大和田さん。いくら銀行の役員とはいえ、ここは東京セントラル証券の企業部です。あなたが土足で踏み込むことが許されるとは思いませんが?」
グループ本丸のしかも役員と聞いて立ち上がった部員の中、一人椅子の背もたれに身体を預けたまま半沢は言った。

「はぁんざわぁぶちょぉお?君は何を言ってるのかな?私は、このたび東京中央フィンナンシャルグループの関連会社を管掌する担当役員になったんだよ。準大手としての評価を得るにとどまっている東京セントラル証券にとって、公開引受業務の拡充は最重要課題だ。その中核会議とあれば、私が直々に参加してもおかしくないだろう?なあ、半沢部長?」
大和田の言葉に半沢の表情が厳しくなる。
「まさか…あなたは、私に対して…」
半沢の言葉を遮るように、大和田は大げさに両肩をすくめて見せた。半沢のトイ面の椅子に腰を下ろす。
「おいおい半沢部長。そんなに怖い顔をするなよ。私は君に何の遺恨も残したりしていないよ。むしろ、逆だ。どうかね?グループ全体の企業価値向上の為に強力しようではないか。やられたらやり返すなんてのは、子供のやる事じゃないかなぁ?」

「相変わらず人を食ったお方だ。いいでしょう。志を共にする者であれば。ですが、もしあなたが…」
半沢の視線に大和田はとぼけたような笑顔を返した。
しかし、次の瞬間表情を変え、その場に勢いよく立ち上がった。
「いいですか?この第一企業部は東京セントラル証券の命運を担う重要部門だ。野山、山興、平和、大手各社に肉迫してるとはいえ、引受分野ではまだまだ及ばない。ここは、勝負の時だ。いいですか?」
大和田は大きな会議室テーブルの周りをゆっくりと歩きながら論じ始めた。
「我が東京セントラルグループは新規公開業務を最重要戦略課題とし、数社の最重点見込み先として数社をピックアップした。その中の一社がこの第一企業部の営業先なんだよ。若林課長…は君かな?」
「は…はあ。若林は僕ですけど?」
その肩に手を置かれても若林の態度はいつものままだ。
「株式会社AKS。この企業を株式上場させる。そして、君達のミッションは…石に囓りついてもこの会社の主幹事を獲得する事だ。」








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