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2006年2月。満を持してリリースされたデビューシングル「会いたかった」はオリコンウィークリーチャートで1位を獲得した。
前の時代では4年かかって無し得た事を僅か3ヶ月で果たした事になる。


「戸賀崎さん…なんかコワイ気がしません?」
「コワイ…って、何だ?順調すぎるって事か?」
「いえ…逆ですよ。こんな風に勢い良くスタートしちゃうと…」

AKB48には幾つもの「伝説」があった。
劇場公演初日には観客が7人しかいなかった事。劇場に足を運んでもらおうと主要メンバーですら秋葉原の街頭でビラを配ってくれた事。「パンツ見せ集団」「萌え系」「ヲタクのアイドル」…そのスタイルをからかうような呼び名で呼ばれてた事。何度も何度もダメ出しをされて汗と涙にまみれて努力するスポ根ドラマさながらのストーリー。
どれも、AKB48を語る上で欠く事の出来ないエピソードだ。

しかし、この時代にはその「ストーリー」が全くない。集まった初期メンバーはまるで成功が約束されたかのような輝きを当初から放っていたし、世間からは何の抵抗もなくその存在を認められていた。



島田はカップに入った熱いコーヒーを一気に飲んだ。前は余り好きじゃなかった苦いエスプレッソだ。
そうなんだよね。確かにワタシは何度も思ってた。入る時期がもっと早ければ…9期だったワタシたちはただそれだけで「甘えてる」って言われてた。そりゃ売れるようになってからオーデションを受けるのと、まだ海のモノとも山のモノともしれない段階からじゃ抱えるリスクが違うのはわかるよ。でも…ワタシ達だって苦労も努力もしてきたつもりだった。アンタたち先輩はただ、先に入っただけじゃないかって…
今のこの状況は確かにスゴイ。毎日やってる公演だって無茶苦茶レベルが高い。ぱるるなんてやっともうすぐ中学生になるって年なんだよ?なのにどこから見ても王道アイドルそのもの。まるでこの場にいない前田さんが乗りうつったかのように思える時もある。

「なんか、あっという間に人気が出て…一発屋とは言わないけど、飽きられるのも早い気がします。あの時代のAKBは苦しかった時代があったからこそあそこまでのブームになったんじゃないですか?」
「まあ、そうだろうな。日本人は努力とか涙とかそういう中でのサクセスストーリーってのが大好きだからな。」
「戸賀崎さん、ワタシ、自分で新しい命の使い道を決めたいって話をしましたよね?」
「ん?今そうしてるんじゃないのか?事実、今のお前は紛れもなくAKB48の主要メンバーの一人になったじゃないか。」
「いえ…それはそうですが…ワタシが自分の力で歴史を変えてるって実感がまるでないんです。ただ、時代の流れに身を任せてるだけ…これじゃ前の時代と何も変わらない。」


時代の流れに身を任せている…か。確かに島田の言う通りだな。
戸賀崎は自室に備え付けられているエスプレッソマシンで新しい一杯を入れた。
俺だってあれ以来あがいてみている。実際に秋元康という男に色んな提案を認められてもいる。新チームと既存チームの「対決」姿勢を打ち出したのは俺の戦略だ。だが…「面白いじゃないか、その企画。よしやってみよう。」そう言って笑う秋元康の表情を見てると分かる。こんな企画、俺が言わなくてもとうの昔にアイディアとして持っていたんだって。間違いない、俺はまだこの時代を何一つ動かせてやいない。


「大場とはよく話すのか?」
「いえ…顔合わせの時にちらっとこっちを見てにやっと笑いかけてきたくらいで。」
「でも目覚めてはいるんだろう?」
「すれ違った時に…待たせてゴメンねって。だから間違いはないと思うんですけどね。」
「そうか…高柳か。アイツは徹底してるからな。」
「ですね。ものすごいキャプテンシーですよ。あの才加さんと宮澤さんを従えて堂々としたものですからね。」
「チームKの初日公演は見に行くのか?」
「ええ、行きますよ。こんなモノ渡されちゃったら…ね。」

AKB48新チームK PARTYが始まるよ公演
チームA上等、私達は一晩であなた達を超えてみせる。


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