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目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
仰向けの姿勢のまま部屋の中を見回す。
読みかけの漫画、食べかけのお菓子、友達との交換ノート、文房具…色んなものが散乱してる。ランドセルも部屋の隅っこにほっぽり放しだ。教科書と問題集なんかだけはきちんと棚に並べて立てかけられている。全然使っていない証拠だ。

2005年7月…

どうやら、本当に私は時間を遡ってきてしまったらしい。
何回も…いや何十回も色んな可能性を考えてみた。でも、訳がわからない。
一晩寝てみたら…ひょっとしたら目が覚めたらちゃんと元に戻ってて…な~んだ夢だったんだ。って笑い話になるかとも思った。でも、多分そうならないんだろうな…って思いもあった。

で…整理しよう。
ワタシ、山内鈴蘭は小学校5年生。AKB48のらんらんじゃない。

頭の中が整理出来るとすぐに目には涙が溢れてきた。

島ちゃんも、みなるんも、やぎしゃんだって…メンバーのみんなに会えない…
会いたいなぁ…もう会えないのかなぁ?
でも、待って。私がこうやって昔に戻っちゃったって事は、みんなも?

山内はベッドから飛び起きると散らかった部屋から一冊の雑誌を見つけ出した。
芸能オーデションの雑誌だ。
そう…ここに行けば…みんなに会えるかもしれない。

10001716221.jpg

小さな募集記事を見つけ食い入るように見入っていた山内が大きなため息をついた。
13歳から?ダメじゃん…ワタシ。応募すら出来ない。
それに…またあの世界に戻るの?そりゃ、楽しい事もあった。華やかな舞台で綺麗な衣装を着てスポットライトを浴びて。でも、辛い事はその何倍も何十倍も多かった。幾らグループの人気が出てもワタシ達は所詮「アンダーガールズ」。最初所属したチーム4だって二軍みたいな扱いばっかだった。やっと先輩が卒業して私たちの番…そう思ったのに、あんな事があって今度はAKBそのものが「支店」扱いされるようになっちゃった。ガラの悪い劇場で細々と公演する地下アイドル…あんな世界に戻るの?そうよ…今からなら…プロゴルファーへの道だってチャンスはある。一時はピンでゴルフ番組まで持ってプロにびっちりレッスンしてもらった経験もある。その時の事はちゃんと頭の中に残ってる。メンタルだって鍛えられた。身体は小学生でも経験値は高いはずだ。ここがスタートラインならきっともっともっと上手くなれるはず…それに、お父さんだって怪しげなアイドルになるより私がプロゴルファーになる事を望んでたはずだし…

山内はもう一度だけ雑誌の中の秋元康の顔を見て、ページを閉じた。
散らかった他の雑誌や本を重ねて紐で縛った。未練を閉じ込むようにきつくきつく…


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