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inning86.





試合は当然のように延長戦に入った。秋葉学院は初戦に続いての延長戦だ。
いつどちらが先に点を取るのか?そもそも点なんて取れるのか?大会屈指の強力打線を誇る両校の打線ですら、この二人を打ち崩すのは無理なんじゃないか?観客席にそんな空気が漂い始めた中最初のチャンスをつかんだのは秋葉学院だった。

11回の裏、5番島田の放った詰まり気味の当りが内野と外野の間に落ちた。ノーアウトで出たランナーを6番・高城がバントで送り、7番・横山のセカンドゴロで3塁まで進めた。打席には8番・山内。前の試合で代打サヨナラホームランを打ちこの試合ではスタメンに抜擢されていた選手だ。

「イヤなのに回ってきたね…」
「歩かせる?」
「いや…次のバッターの方がもっとイヤだな。」
宮崎が秋葉ベンチの前でバットを軽く振る島崎の姿を見て言った。
「そう?ぱるるって打率2割ないよ?」
仁藤が口元をミットで隠して言う。
「そうだけど…コツンとか当てるのは上手そう。まだ振りまわしてくる鈴蘭のほうが料理しやすくない?」」
「まあ、アンタがそう言うならここは鈴蘭勝負。気をつけてね。」

仁藤が内外野に声をかけてマスクを被った。守備位置は…定位置でいい。むしろ深め…鈴蘭は足はそれほど速くない。打球を落ち着いて処理さえすればそれでいい。」

宮崎は初球・2球目と絶妙なコースにストレートを投げ込んだ。2球目はこの日MAXの147km/hを計測した。宮崎の底知れないスタミナに観客がどよめく。
3球目、外への釣り球…ストレートのサインに宮崎は首を振った。
ん?じゃあスライダー?次のサインにも首を振る。
ダメだよ、みゃお。ここは勝負を焦っちゃ。1球外して内側のストレートで勝負。インコースのストレートはアンタの一番威力のあるボールだ。
仁藤はもう一度同じサインを出した。外へのスライダー。ただし明らかなボールでいいから外す事…ようやく宮崎が頷いた。

まあ、いいか…ストライクからボールになる球なら…手を出してくれれば儲けものだ…

キィィイィイイン!!!

快音が銀傘に響きわたった。宮崎の投じたスライダーは真ん中やや外、甘いコースに入った。山内のバットが一閃した。

やられた・・・・サヨナラヒットだ。
誰もがそう思い、打球の方向へ目をやった。鋭いライナーがセンター前に抜けていく・・・

「小森ぃいぃいぃ!」
叫んだのはショートの石田だ。腹ばいになったセカンドの小森がグラブを高く差し上げる。そのなかには白いボールがしっかりと握られていた。

「なんでそんなトコ守ってんだよ!おい!」
「えー・・・なんでって。何となく。ボール飛んできそうだなって思って。」
「こら、小森。定位置でって指示出してたろ!」
「ごめんなさい~。でも・・・でも・・・ほら。ちゃんと取ったし・・・」
「いいんだよ、なんでも。とにかくナイスキャッチだ!」
鈴木がファーストミットで小森の頭を叩く。仲川も石田も、外野から戻ってきた仲俣も野中もだ。
「痛い・・・いたいって。もー、褒めてくれてもいいじゃない。ぷんぷん。」
「褒めてるんだよ。ほら。」
仁藤がマスクで小森の頭を叩こうとする。慌ててそれを避ける姿に千城ナインから笑いが溢れた。

小森の奇跡的なファインプレーでサヨナラ負けのピンチを脱した。
延長戦はまだ続く・・・

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