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inning85.



「暑いなぁ…」
マウンドの上で宮崎が汗をぬぐった。コンプレッションタイプのアンダーシャツを毎イニングごとに着替えているが身体に纏わりついてくるような熱気は拭えない。

だいたいこんな真夏に野球やるっていうのがおかしいんだよね。しかも炎天下。そりゃ、しんどいわって。あ~プール行きたいなぁ。海もいいなぁ。高原でリゾート…そういや、夏休みって遊んだ記憶がまったくないや。いっつも練習練習で。秋葉辞めた時は今度こそ遊ぶんだって思ったのになぁ…そっか、萌乃とあやりん…よししにも上手く唆されたんだよなぁ。あの時、コンビニで賭けなんかに乗らなきゃ今頃は…

今頃は…きっとくそ面白くない毎日過ごしてたんだろうな。毎日死んだような目して退屈だ~ってばっか言いながら。この暑さだって…きっとここは今日本中で一番暑い場所なんだろうな。でも、この暑さを感じられるのは限られた者だけの特権なんだよな。海とかプールなんて誰でも行けるし、いつでもいける。でも、ここは…誰にも譲らないよ。


球威は全く落ちていなかった。変化球のキレもコントロールも申し分ない。1球ごとに歯を食いしばり闘志を前面に出して投げ続ける宮崎は秋葉打線を完全に押さえこんでいた。しかし、強打・秋葉のプレッシャーは確実に宮崎から体力と気力を削り取り始めていた。

「だいぶ、へばってるね…」
鈴木が仁藤に言う。
ベンチに戻るとすぐにベンチの奥に引っ込んだ宮崎が首筋に氷嚢を乗せうな垂れている。アンダーシャツを着替える力もないように見えた。
「大丈夫だよ。言ったでしょ?12回でも15回でもって。とにかく私は先に点をやるつもりは全くないから。」
鈴木の言葉が聞こえたのか、宮崎が顔を上げてきっぱりと言う。
「でも、出来るなら早く点が欲しいな。1点でいいからさ。」

島崎は宮崎とは対照的に涼しい顔で千城打線を手玉に取っていった。横にスライドしたり、すっと沈んだり、時には不規則に揺れながら落ちるブレ球は今日も威力を発揮していた。そして、次々に転がるゴロを鉄壁の内野陣が確実に捌いていく。ショート渡辺、セカンド多田を中心とした守備陣の安定感があってこその島崎の快投だ。

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