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inning30.



「はぁ…はぁ…はっ…よっし…えっと何本目だっけ?」
「え~しほりん、数えて…ない…の?え…っと…37本…目じゃない?」
「いや…数える…の、わた…しじゃないよね?はる…ごん…でしょ?」
「え~…ん…っとね…次が確か…はあ…は…はぁ…38本目かな?」
「じゃあ、あと3本…ね?」

真夏の日差しが容赦なく降り注ぐ。3塁側のファールライン上に並んだ8人が膝に手を当てて息を切らしていた。塁間をダッシュしてはジョグで戻り再びダッシュを繰り返す。もっとも地味でキツいインターバルトレーニングだ。

「はるごん、誤魔化してもダメ。次まだ36本目だよ。」
「誤魔化し…てなんか…な…いよぉ~。さす…が、萌乃…だね。」
「じゃ、36本目行くよ!!みんな笑って!!!キツい時こそ笑う!おっきな声出す!!」
「っしゃー!!!」
「んのぉらぁ!!!」
「もう、どうにでもしてくれーーーー!!!」

夏の練習は本格的なものになってきていた。とかく、技術面だけに特化しやすいこの時期の練習だが、この時期に基礎トレーニングを徹底的にやる事を井上は指示していた。特に瞬発力系のトレーニングは質・量共に凄まじいものがあった。

「よ~し。休憩ね。でも、腰下ろしちゃだめだよ。軽くウォーキングしながら呼吸整えて。」
「うぃ~っす!!」
仁藤の掛け声にメンバーが答えて三々五々グラウンドを歩き出す。
菊地が仁藤に歩み寄ってきた。まだ息が弾んでいる。
「す…ごいね…みんな。文句ばっ…か言いながらきっちりこの量のトレーニングをこなしてく…ワタシなんてつい…てくのがやっとだよ…」
「う~ん…多分、もっとこれから量増えてくと思うよ。みんなわかってるんだ。この時期に基礎やる事が大事だって事。」
「みんな…どM?」
「あはははは。そりゃそうかも。ワタシもアンタもね。」

「こんちはっす!!」
井上がスーツ姿で現れた。この暑いのにネクタイまでしている。
「あれ?先生、お見合い?」
「そっかぁ、先生、独身だっけ?そろそろ身を固めなくちゃって…年でもないか?」
小森と仲川がはやし立てる。さっきまで死にそうな顔をしていたとは思えない。
「おい、いい加減にしてくれよな。今日はせっかくイイ話を持ってきてやったのに。」
「お~、今日は焼き肉ですかぁ?」
「石田、お前は食う事しか頭にないのか?そんなちっちゃい身体で。」
「先生、そんな事言って~ワタシ、ちゃんと出るトコは出てますもん。」
「ねえ…それって何かワタシへの嫌味にしか聞こえないんだけど?」
「そーそー。」
菊地と鈴木が石田の肩を両脇から抱えて持ち上げようとする。

「で?先生、いい話っていうのは?」
仁藤が目を輝かせて聞いた。

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