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inning25.


試合は完全に膠着状態に入った。秋元は完ぺきだった。7回を終わって一人のランナーも出していない。奪った三振は早くも11を数えた。一方ですっかりペースを掴んだ道重も面白いように秋葉打線を打ちとっていく。適度の荒れたボールで的を絞らせず、追いこんではキレ味鋭い変化球で内野ゴロの山を築いていく。

8回の裏、場内は異様なざわめきに包まれ始めた。決勝戦でのパーフェクトゲームは余り例のある事ではない。ここまでの秋元の完璧な投球内容は快挙を予感させるに十分なものだった。

「才加さん、ヒット打たれちゃいましょ?」
6回頃から柏木はマウンドに向かうたびに笑って言っていた。もちろん、秋元をリラックスさせる為ではあるが、その言葉は本心だった。大切なのは勝つ事で記録を狙う事じゃない。大事な試合だからこそ、余計な事に気を回したくない…

先頭の4番・吉澤のバットからこの試合初めての快音が響いた。
あわや外野の頭を越えようかという打球だったが左中間に背走した前田敦子がいっぱいに伸ばしたグラブにその打球を収めた。これまでの朝夢打線に出ていなかったいい当たりだ。

球数は…7回終わって120球を超えていた。多い…三振を取り過ぎた。結構粘られてもいる。それにこの回に入って明らかに球威が落ちてるしコースも甘い…出来れば交代させたいところだが、下手にパーフェクトで来てるから監督も替えづらいだろうしな…

柏木がそんな風に思っていたところ、5番の飯田の初球、スライダーが肩口から甘いコースに入ってきた。いけない…

スタジアムにどよめきが起こった。飯田の打球は詰まりながらもセンター前に落ちた。朝夢高の初ヒットだ。飯田が1塁ベース上でガッツポーズを見せる。

「才加さん、これですっきりしましたよね?」
「ああ、なんか変な色気出ちゃいそうだったからな。」
「で…下位打線ですけど…慎重にいきましょう。ちょっと球高めに浮いてますから。」
「ああ、わかってる。次はあのおねーちゃんだろ?」

秋元がマウンドから打席に入った道重を見た。涼しい顔でバットをかついでいる。
「とにかく警戒しましょう。投げるだけでなく打つ方でも何してくるかわからなさそうですから…」
柏木の言葉に頷く。


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