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inning18.



「大分県ってどこが強いんだっけ?聞いた事ある?」
石田が口にくわえたストローをくるくる回しながら聞いた。
「ちょっと、きゃん。ストロー振り回さないの。なんか飛んできたじゃん。」
内田が手で顔の前を払いながら顔をしかめる。

「えっとね…どれどれ…」
鈴木が持っていた大分合同新聞の紙面を開く。高校野球大分県大会の特集記事だ。
「あのね、柳ヶ浦と明豊だって。2強って書いてるね。柳ヶ浦って、今年のセンバツでウチが準決で当たったトコじゃん?」
「あ~覚えてるう。7回まで負けてたんだよね。才加ちゃんがボコボコ打たれちゃって。」
「小森。幾ら小中学校の先輩だからって、才加さんをちゃん付けは…だから、アンタはウチから追い出され…ま、いっか、もう辞めちゃったんだもんね。」
内田が小さくため息をついた。席を立ってドリンクバーへと歩いて行く。

放課後、こうして市内に2件しかないファミレスに日替わりで行ってはドリンクバーを注文し長々とクダを巻く。そんな日々が続いていた。
「うっちー、しほりん。もう秋葉はウチ…じゃないよ。ヨソの学校。」
「あ…そっか…」
宮崎の言葉に鈴木も内田も言葉を失った。
そうなんだ。そろそろ慣れなきゃいけない。私たちはもうあの名門校の野球部員じゃない。イナカの私立高の単なる帰宅部員なんだ。

「ねえ。萌乃と話した?」
仲川が思い出したように鈴木に聞いた。
「ううん。でも、そういや、最近授業に顔出すようになったよね。」
「なんか、菊地と二人で放課後遊んでるみたいじゃない?」
「菊地?」
「ああ、みゃおはまだ知らない?なんかウチの一人だけの野球部員。担任の井上が顧問なんだって。萌乃を誘いこんでなんかやってるのちらっと見た事ある。」
仲川が小森のほっぺたをつねりながら大して興味なさそうな顔で話すと、すぐに二人できゃっきゃっと騒ぎ始めた。

「あ~なんだかなぁ。大体イナカすぎなんだよ。ここは。せっかく野球辞めて時間腐る程あるのに、遊ぶトコもないし買い物すら出来やしない。」
宮崎がバッグからラッキーストライクのボックスを取りだした。100円ライターで火をつける。
「ちょっと…みゃお、タバコはマズイって。」
鈴木が辺りを見回して小声で宮崎に言う。
「なに?ここ禁煙席?」
「いや…そういう問題じゃなくてさ…」
「じゃ、いいじゃん。」
宮崎が煙を口からはきだした。

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