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inning4.



キィン!!!

甲高い金属音に井上は思わず身体を起こした。
ソフトボールを打つ音じゃない。この音は…硬球だ。硬式のボールを超々ジュラルミンの金属バットがとらえた音だ。

「抜けた~センター前!」
快音を放ったバッターが駆け出しながら声を上げる。
次の瞬間、井上は目を疑う光景を目の当たりにした。

セカンドを守っていた子が球足の速いゴロを難なく逆シングルで捌き、そのままベースカバーに入ったショートにグラブトスで送球する。ショートは一塁から走ってきたランナーのスライディングをさっとかわしジャンピングスローで一塁へとボールを送った。

「はい。4-6-3のゲッツー。固いね~相変わらず。」
ファーストを守っていた背の高い子が笑って声をかける。
「え~、打球弱かったよ~。ちょっと詰まってたでしょ?うっちー?」
「詰まってなんかないよ、会心の当たりだったよ。もうナマイキ。小森のくせに。」
「はい、アウトになったら交代だよ~」
「次、誰の番だっけ?紫帆里?」
「そうそう、私の番だよ。最近稼いでないからなぁ。ヒット一本100円だよね?」
「でも、三振なら100円払いだからね。」

なんだ?今のセカンドのグラブ捌きは。とても素人…いや、相当な高等技術だぞ?それに、ショートの送球も…ランナーのスライディングだって巧みだった。一体…これは…

キィーーーン!!!!

「いったあ~!」
「あ~ダメ~。ホームランは罰金500円だよ~ボール無くなっちゃうじゃん~」
「え~。んもぅ。またぁ?そのルールやめない?ホームラン打たれた方が払うってしないとさ~」
「いいけど、そしたら私、本気で投げるよ?」
「それも面白いんじゃない?」


なんだこいつら…今のピッチャーの球だって素人が投げるスピードじゃなかったぞ。そりゃまあ、140キロも出てるってモンじゃないけど…それを…幾ら狭いグラウンドたってフェンス越すほど飛ばすなんて…本当の球場でも優にスタンドインだ。
そうか、こいつらが野球部か。なんだ、弱小って聞いてたけど相当のモノじゃないか。こりゃ楽しみだ。

おっと約束の時間だ。暇つぶしのつもりが面白いモノが見れた。井上は一人小さな笑いを浮かべ腰を上げた。襟元のネクタイを締めつけた。

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