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77.



5年後…ツール・ド・フランス 
第16ステージ ラルプ・デュエズ

「No le permita ir más temprano.No puedo alcanzarlo!(先に行かせるな。ここで離されたらダメだ。)」
「Condénelo.¿Además, es Yuko?(くそっ、また優子か)」
「Lo siento.Voy más temprano.(悪いね、先に行くわ。)」
ツール最大の難所、ラルプ・デュエズ。山頂までの21のコーナーにはこのステージでの歴代優勝者のパネルが飾られている。大島優子は昨年新しく飾られた自分のパネルの前でアタックをかけた。総合争いのエース、シュレックはコンタドールやスミスといったライバルと後方で走ってる。今日はこのまま山岳を取りに行っていい。GMのキャンデローロからはそういう指示が出ている。残り4キロ、単独でも十分逃げ切れる…いや…そうは簡単にいかないだろうな…だって、今年はアイツがいる…

「優子さん、抜け駆けはないっすよ。ご一緒しましょ?」
「はあ…やっぱ来たのか…」
「当たり前じゃないですか。ラルプ・デュエズですよ。初参加の私たちが名前を売るには最高のステージだし。ここで勝てば自慢の種になるし。」
「あのさ。大体マイヨ・ヴェール(ポイント賞ジャージ)争いしてるヤツが山まで取りにくるんじゃないよ。アンタの相手はカヴェンディッシュでしょ?」
「そうですよ。私、今日はアシストですもん。優子さんを潰しに来たんですよ。ほら。」
島田がちらっと後ろを振り向いた。

参ったな。あの時と同じじゃん。玲奈になかやん、それから麻友…おいおい亜香里までいるじゃないか…結局、主だった選手は移籍したんだね。白地に赤のジャージ…チーム・ジャパン日の丸ジャージか…まったく、秋元康ってのも大した人だわ。ホントに5年でツールに出てきちゃうなんてね。

「優子さん。来年はこっちで走るって噂聞いてますよ?GMがエースのポジション開けてるって。ここは恩を売っといたほうがいいんじゃないですか?」
島田がにっこり笑った。

よく言うよ。アンタだって、HTCやガーミン…錚々たるチームが破格の条件でから誘われてるって話じゃんか。まあ、アンタは味方にしたら頼もしいんだろうけど、私は敵同士で走ってたいな。そのほうが絶対面白えもんな。

「優子さん、1対5じゃ敵いっこないですって。ウチは総力上げてこのステージ取りに来てるんですから。新参者に花持たせてくださいよ~」
大島が前を向いた。その先には澄み切ったフランスの青空を突き刺すようにそびえるアルプスの峰々が見える。上等だ…私にもパイオニアとしてのプライドと意地がある。その挑戦受けようじゃないか。
大島が島田の方を向いて笑顔で言った。

「うるせぇよ。島田。」



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