スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

47.



島田晴香はメイン集団の先頭付近で集団の流れに身を任せ走っていた。時々秋元や宮澤と会話しながらリラックスした走りだ。周囲の色んな選手が声をかけてくる。先頭争いをしてるわけでもないのに、テレビカメラがずっと私の姿を追っている。リーダージャージを着てるだけでこんな風に世界が変わるのか…

「はるぅ。体調はどう?」
インカムから野呂の声が聞こえてきた。
「ええ。朝言った通りです。全然元気ですよ。なんならここから山岳ジャージ狙ってアタックかけてもいいくらい。」
島田が冗談っぽく笑って答えた。実際、疲労感は全くない。むしろ今日が一番フレッシュな状態じゃないかと思えるくらいだ。
「じゃ、冗談じゃなく、アタックしてくれないか。前に上がって欲しい。」
「へ?前にって?」
「スキルAのアシスト体制が崩壊してる。麻友を指原が一人でフォローしてる状態だ。K'sが万全の体制で逃げてる。麻友との差は2分。何とか次の登りの前に追いついて山でのアシストについてくれ…だとさ。あと、柏木とウチの島崎と永尾も連れてって欲しいの。」
「でも…そしたら、ウチがスキルAとチームBと組んでるって事がばれちゃいますよ?」
「うん…もう仕方ないみたい。少しでもアシストつけなきゃ…」
「わかりました。やってみます。」

島田の後ろに柏木がついた。永尾と島崎も隊列から離れその後ろにつく。
「秋元さん、宮澤さん…すみません。先行きます…」
島田が二人にぺこりと頭を下げ、前に飛び出した。
「そういう事か…」
秋元が独り言のように呟いた。
「そういう事って…?スキルAとBがくっついてる事は何となくわかってる。優子もさっきそう言ってたしね。でも、なんで島田までが?」
宮澤が秋元の背後から聞く。
「あの子を評価してるのはウチだけじゃなかったってトコじゃない?まあ、さすがにあの3人を山の手前まで牽くくらいだろうけどね。幾らなんでも前に追いつけって指示じゃないでしょ?」

秋元はそう言いながら、小野の言葉をまた思い出していた。
いや…そんな事があっちゃいけない。そう、きっとそこまでだ。そんな力が島田に残ってる訳はない。次の山岳はさっきの山よりももっと厳しい。そこで前を追う力があったとしたら…それは間違いない。島田は入ってはいけない世界に脚を踏み入れてるとしか考えられない。
頼む…島田。もう止まってくれ。

48. | Home | 46.

Comment

Post comment

Secret

Page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。