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42.



大島を追う動きはこれで終わらなかった。
メイン集団の先頭を走るのはサイクル4だ。逃げ集団に主力選手をおくりこんだK'SやスキルAにはこの集団をコントロールする意味が今はない。その中で、前田敦子が一人K'sのトレインから離れた。先頭付近へ上がっていく。

「おい…何をしてるんだ、敦子は?」
宮澤が秋元才加に耳打ちする。
「いや…わからない…何か話してるな…あれはサイクル4のジャージか?」

その瞬間だった。いきなりサイクル4の選手が2人加速した。山内鈴蘭と市川美織だ。前田もその後ろにぴったり張り付いている。大島を追う気だ。

「お…おい。何やってるんだ?アイツ。今日の作戦を知らない訳じゃないだろう?」
秋元が大声で叫ぶ。
「ランス、敦子に指示は?ここで敦子が出たら、何のために他チームのエースを引き連れて行ったか分からなくなるんじゃないですか?」
「構いまセン。あなたタチはそのまま集団をキープしてくだサイ。」
「は…はい。それはいいんですが…」
秋元は宮澤と顔を見合わせて首を捻った。

野呂の携帯が鳴った。 戸賀崎からだ。
「なんで市川と山内が前田を牽いてるんだ?お前、幾らお前が元K'sレーシングだからって、ここで反旗翻してどうするんだ?」
「秋元GMの指示ですけど?」
野呂の声はちょっとむっとしていた。
「秋元さんの?じゃあ、前田と話をしていたのはなんだったんだ?」
「さあ…なんですかね?」

前田敦子も上がってきた。大島はインカムでその情報を耳にしていた。
どうやら私への指示は変わらないようだ。私が今日やるべきなのは、敦子のアシストではない。各チームのエースを消耗させてしまう事。その為には頭を使わなくちゃ…これ、結構面白いなぁ。去年までは自分が勝つ事が第一だった。私は勝つ事だけを期待され、そしてその期待に応えてきた。満足感はあった。だけど…楽しいと思った事はない。こんな風にワクワクした事もない。常に後ろから迫ってくるラチェット音に追い立てられて走ってた気がする。

紅葉の名所、香嵐渓から始まる最初の2級山岳の直前で前田が集団に追いついた。
山が始まる。

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