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38.



万全や。これでちょっとは胸がすっとしたわ。
やっぱ、勝負はこれやないといかん。彩が言うてくれたおかげやな。
ウチらだと、なんか妙に納得ちゅうか…諦めてしもうた事を彩が言うてくれた。
大したもんや。ああいう子こそがチームを引っ張っていく器ちゅうんかな?

さあ、みやお、行こか?向こうはもうバテバテや。アンタの好きな踏みあいっちゅう展開やねいけどええやろ?最後爆発したりや。明日からは地味~にアシストに回らんといかんのやからさ。

増田は満足そうな表情で横を見た。もう最後の大場しかおらへんはず…

増田は目を疑った。増田の横を走っていたのは島田だった。顔を歪めながら懸命にペダルを踏んでいる。なんでや?なんでまだ残っとれる?もう1キロ近くスプリントしとるはずやで?なんで一人でそこまで牽けるんや?

残り200m。宮崎が増田の後ろから前に躍り出た。完璧なタイミング…のはずだった。

大場、ここだ。イーブンとは言えないかもしれないけど、なんとかここまで引っ張ってこれた。後は一対一の勝負だ。相手が宮崎さんでも臆する事はない。お前のスプリントなら十分勝てる。頼んだよ。大場。
島田がすっと横にスライドした。発射台としての仕事を終え、後は大場の背中を見送るだけだ…しかし…大場が…出れない。島田の後ろで脚を温存していたはずの大場は想像以上に消耗していた。それほど島田の牽きは強烈だったのだ。一瞬の間があった。島田は一瞬の判断で再びペダルを踏む脚を強めた。常識では考えられない事が起こった。一旦仕事を終えた発射台が再度加速する。ありえない…誰もが目を疑ったが、事実一踏みで島田は宮崎に並んだ。残り100m、今度は宮崎の前に出る。自分でも訳が分からない。どこからこの力が湧いてくるんだ?身体一つの差がついた。


勝てる。
島田は確信した。周りの動きがまるでスローモーションのようだ。
昨日は出来なかったガッツポーズまで作ってゴールラインを越えた。

その様子をモニターで見ていたヨーロッパ・プロチームの首脳から感嘆の声が沸き起こった。
「C'est incroyable!(信じられない!)」
「Qui est cela、Haruka Shimada?(島田晴香とは何者だ?」

リーダージャージを今日も守った島田晴香の名前が彼らの脳裏に深く刻み込まれた。

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