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5.


「…………はぁ……」
「…………ふぅ~……」
柏木由紀と増田有華が顔を見合わせて同時にため息をついた。
「まったく、戸賀崎さんも弱いよねぇ…」
「幾らウチがスキルAからのれん分けされて出来たチームいうても、立派なプロチームやん?ここ数年はウチの方が成績ええのに。なんで秋元さんの言いなりにならんといかんっちゅう話よね。」
「まあ…仕方ないよ。大人の世界の話だから。」
柏木がジャージに着替え諦めたような表情でヘルメットを被る。

ブリジストン・アンカー・テストチーム。通称チームBはタイヤ・スポーツ用品をはじめとして多種多様の商品を取り扱う商社のスポーツバイク販売戦略を目的に設立されたチームだ。年々力をつけ、今年のジャパンでは初めてエースの渡辺麻友を表彰台に送り込んだ。しかし、チームが選んだ選択はそのエース・渡辺の放出だった。その背景にはスポーツバイク部門のスキルAとのビジネス戦略が見え隠れしていたが、もちろん選手である柏木や増田に異を唱える権限など与えれていようもなかった。

「有華は知ってるの?麻友の代わりに加入するって子の事。大阪のチームから来るって聞いたけど。結構有名な選手だってよ?」
「ゆきりん知らへんの?山本彩ちゅうたら、結構名の知れたスプリンターやで。ただ、アシストがおらへんで腐っとったみたいやけど。」
「そうなんだ。でもねぇ。麻友の代わりに入れるなら山登れる子じゃないと…それに、またスプリンター取るとか聞いたら、ウチのワンちゃんがまた吠えまくるよお…?」
「みゃおかいな…しゃーないなあ。アイツは誰かに噛みつかんとおれん性格やからなぁ。でも、これでもう来年のジャパンの戦略は決まっちゃったようなモンやなあ。総合は狙わん…いや、狙えんっちゅう事や。やから、スプリンター揃えて初日とかで目立っとこうって狙いやろ。ウチらの仕事は…少のぅなるわな。」
増田が寂しそうにつぶやく。

「おっはよーございます!」
パンを咥えながら宮崎美穂が更衣室に入ってきた。
「おはよ。しかし、アンタまたあんぱん?好きだねぇ。」
「はい。練習前はお腹空くんですよ。」
「ちゅうて、練習終わったらまた腹減った言うて食べるんやろ?」
「はい!だって食べなきゃ身体は出来ませんから。スプリンターは最後自分の筋肉と体重を使ってスパートするっていうのが私の持論なんで。」
「まあ…みゃおがそう言うと説得力はあるけどね…あ、でも、今日のメニューは山岳だからね。わかってるでしょうね?」
「えぇ~やっぱ山登るんすかぁ?ヤダなぁ…嫌いなんだよなぁ…」
「何言うとるん?しっかり山登らんと、ジャパン完走すら出来へんで。今年なんてせっかく平坦ステージで優勝取ったっちゅうのに山でリタイア寸前まで落ちてもうて…あそこでしっかり足残せてたら最終日だってステージ優勝のチャンスあったんやで?」
「ふぁ~ぃ、わかってますよぉ。」
宮崎は頬を膨らませながら着替え始めた。

渡辺不在のチームが存在感を示すには、宮崎を始めとしたスプリンターたちに頑張ってもらうしかない。新加入の山本の力もどうやら期待できるものらしい…
さてと、やれる事を頑張ってやりますか…

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