スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

シーン37-2.




「え~・・・一つだけ申し上げます。事件の捜査は終わりました。何か特別な物証が出てこない限りはあなた方のどちらかが殺人を犯したのか・・・それを特定する事は出来ません。これは検察が出した結果です。私が今更覆せるものではありません。」
古畑がワインを口に運びながら話す。
秋元と戸賀崎も急に真顔になって耳を傾ける。

「起訴して裁判の場でも真実が明らかになる事はない。検察はそう判断したかもしれません。しかし・・・これだけははっきりしています。あなた方お二人のうち一人は・・・恐るべき殺人者だ。そして、もうお一人は、それを知っていながらその事実を隠されている。確かに、法はあなた方を罰することが出来ません。でも・・・それで本当にいいのでしょうか?」

「おじいちゃん・・・その話、今更・・・もう終わった事って。さっき言ったじゃない?」
「え~・・・彩音ちゃん・・・君のお母さんの事、私は今でも正しい事をしたと思っているよ。
君がそれを許さなくてもね。」
古畑が急に話を変えた。花崎が目を伏せる

「古畑さん・・・その話聞かせていただけませんか?」
「あの・・・篠田さん、それは・・・」
花崎が何か言いかけたがそれを制して篠田が古畑に聞く。
古畑は静かに頷いて話始めた。

「え~・・・この子の母親は今から2年前に事故で亡くなりました。残念な事故でした。当時私は刑事課からちょっとしたトラブルで外されておりまして、交通課に勤務しておりました。事故は一見この子の母親が被害者に見えました。事故の相手も亡くなってしまっていたのですが・・・」
「この人が、余計な事をしなければ・・・」
花崎が声を振り絞った。

「私はこの事故に裏がある事に気づきました。偶然が重なって、被害者と加害者が逆に捕えられていたのです。私はそれを暴きました。その結果、彩音の父親はその責任を果たす為に・・・」
「あれ以来、お父さんはすごく大変な思いをしたの。ねえ?わかる?おじいちゃんの正義感っていうの?それから、その鋭い推理っていうの?それが、お父さんを苦しめたんだよ?あんなに仲が良かった二人が全然話しなくなったし。」

「彩音ちゃん・・・お母さんの事は本当に残念だった。だけどね・・・解ってほしいんだ。君たちはそれで良かったかもしれない。でも、あの事故では相手の方もいらしゃったんだ。果たして、あのままで本当に良かったのかな?」

花崎は黙った。
解ってる、解ってるんだ。自分たちだけが良ければそれでいい・・・そんな風には思っていない。でも・・・この人の捜査が無ければ私たちは・・・そう思う事がワガママだって事もわかってる。でも・・・この人がこんなに優秀でなければ・・・きっと、知られる事のなかった事実だった。

「彩音ちゃん。法律っていうのはね。間違った事をした人を罰するためだけのものではない。正しい事をした人を守るためのものでもあるんだ。確かに、世の中には殺されても仕方がない人間がいるのは事実だ。しかし・・・どんな人間でもその命を奪われる事は許されない・・・どんな人間であってもだよ。」


シーン37-3. | Home | シーン37.

Comment

Post comment

Secret

Page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。