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シーン37.



「え~・・・一つお願いがあります。
このワイン・・・篠田さん、あなたに開けて頂きたいのですが。」
古畑がにこやかに篠田に向かって言った。
「え?私が・・・ですか?」
「ええ。お願いします。」
篠田が南からオープナーを受け取った。本格的なソムリエナイフのついたオープナーだ。

「では・・・失礼して・・・」
篠田がオープナーのスクリュー部分を瓶の先端に突き刺し、カバーに穴を開ける。
ぐりぐりとその穴を広げ、出来た穴からのぞいたコルクにスクリューを入れようとする。
「え~・・・すみません。篠田さん。その開け方ではさすがにワインが可哀そうです。すみません。やはり麗華さん、お願いできますか?やはり、使いなれた方にやって頂いた方がよさそうだ。」
「ええ。わかりました。」
今度は南が慣れた手つきでワインを開け始めた。ナイフでカバーの円周上に切れ目を入れてカバーをすっと外す。瓶の口だけが綺麗に露出した。そこにスクリューを入れていく。鮮やかな手つきだ。

「お見事です。麗華さん、いつもそのオープナーを?」
「ええ。持ち歩いてます。もう5年も使ってますしね。これを持ってないと落ち着かなくて。」
「なるほど。では、皆さん頂きましょう。」

花崎以外が一斉にグラスを傾けた。
飲み終わった後、ほーっとため息がこぼれる。

「やはり、いいワインはいいソムリエに空気を触れさせてあげると素晴らしい味を出してくれますね。麗華さんのお見事な手際でこのワインにも素晴らしい命が吹き込まれたようです。」
「そんなものなんですか?私は、良くわからないが・・・しかし、このワインが素晴らしいものだって事はわかりますね。なんというか、奥行きが深いというか・・・」

「はい。そういう意味では・・・
あの事件現場で飲まれたワインはきっと美味しくはなかったでしょうね。」

古畑の言葉に、その場の空気が変わった。
秋元と戸賀崎は表情を買えず、ワイングラスを口に運んでいたが、明らかに篠田と南の顔には困惑が浮かんでいた。



シーン37-2. | Home | シーン36.

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