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シーン25-3.




「古畑さん…なにを言いだすのかと思えば…すみません。
安っぽい刑事ドラマでも、そんな話はないんじゃないですか?
すみません…そろそろいいですか?久しぶりのオフなんです。ゆっくり過ごしたいので…」

篠田の表情が変わった。呆れた…という表情ではない。焦りの色…だ。
「篠田さん…あなたには双子の妹さんがいらっしゃる。ご存じですね?」
「妹が…正確には…いた、ですね。生まれてすぐに養子に出されて…
その後亡くなったって聞いてます。この世界に入った頃…父に聞きました。」

「その妹さんが生きていれば…そして、二人が協力すれば…人の目を欺く事は可能です。」
「ふふふふふ…おかしい…そんな夢物語を?彩音の言ってた通り。
警察って、そんなありえもしない事まででっち上げて人を犯人に仕立て上げるんですか?
私、知ってるんです。妹は死んでるんです、間違いなく。戸籍だって調べましたよ。
当時、相当ショックを受けましたからね。自分で直接調べました。
間違いなく私の妹…その時川岸由美子という名前の子は阪神大震災の犠牲になって死んだんです。」

「なるほど…では。一旦質問を変えましょう。すみませんね。もうちょっとだけお付き合いください。今泉君…。」
今泉は2枚の写真を差し出した。コンビニの防犯ビデオに写った男の写真だ。
「このビデオの写っていた男ですが…私は最初、この男が浜田さんを殺した犯人…そう思っていました。
え~…その推理ですが…半分は当っていましたが半分は間違っていました。
この2枚…同じ格好ですが別の人物です。」

古畑が篠田の顔を覗き込んで言う。篠田は写真を見ながら表情を変えずにいた。
「犯行現場には、酒盛りをしたような跡がありました。
しかし…最初に写った男が買ったものはカップ酒とワイン1本だけ。
レジのデータと防犯ビデオが録られた時刻から割り出しました。
しかし…現場にはカップ酒5個とつまみが何種類か残されていました。」
「……違う人間がもう一回買いに行ったって事ですか?」
「素晴らしい推理です。その通り…犯人は最初にコンビニに行った人…
浜田さんですね…が着ていたコートを着て再度コンビニに行ったんです。」

「なんで…わざわざそんな事を?」
「いい質問です。まず、犯人はこの犯行を酒の席のトラブルからおきた突発的なものとでも偽装しようとしたのでしょう。現場に酒盛りの形跡を作ろうとした。カップ酒を開け、そのその辺りに中身を捨てた。そして、ふとワインのボトルがある事に気付いた。犯人は考えた。相当焦っていたのでしょうか。このワインも開けなくてはならない…そう考えたものの、ワインオープナーがない・・・それでわざわざもう一度コンビニに戻った。つまみも買ってこれで万端…そう考えていたんでしょうか…」

古畑は自分の身体の前で両手を組み合わせた。
解説をするかのような口調で話を続ける。
「あの日はとても寒い日でした。しかし…発見された浜田さんはコートを着ていなかった。セーターこそ着ていましたが、さすがにあの寒空の下、コート無しで長時間外にいるのは、幾らお酒が入っていたとはいえ厳しかったのではないでしょうか。」

「え~…篠田さん。犯人がなぜ浜田さんのコートを着なくてはならなかったか…それには、二つの理由があります。一つは単純に寒かった事。寒風吹きすさぶ中、薄着で買い物に行くのは耐えられないくらいの寒さでしたし、周りから見ても不自然だった。同じコートを着ていれば防犯カメラに写っても他の人間がそこに居た…との推理を薄める事も出来ます。そして…もう一つの理由…それは、自分の着ていたコートが着れなくなったからです。」


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