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シーン1.

シーン1.

3か月前 
東京都杉並区 普門館ホール


「随分熱心なんですね。そんなに気になりますか?」
「お前は気にならなかったのか?」
「はあ…少なくともオーディションの時には…
確かにあの中では抜きんでていたのかもしれません。
歌も上手かったですしルックスもいい…
ですが…珠理奈以上の逸材と先生が評価される程とは…」

戸賀崎智信は秋元康の横顔に向かって言った。
その横顔には、どこか少年のような笑みが浮かんでいた。
そう…、まるで初めて見る劇場公演を前にした少年のような。


「エントリナンバー12 千葉県松戸市立第六中学校」

場内にアナウンスが流れる。ざわめきが治まり静寂が訪れた。
顧問の女性教師が会場に一礼すると大きな拍手、そしてすぐに再び静寂。
タクトが振られ、「汐風のマーチ」の軽快な音楽が流れ始めた。

全国吹奏楽コンクール。「吹奏楽の甲子園」と言われ、全国の中高生にとって憧れの舞台である。松戸第6中はこの普門館で2年連続金賞を獲得している強豪中の強豪である。毎日の厳しい練習に耐え抜いた精鋭たちによる演奏は地方予選から評価が高く今年も金賞の有力候補として目されていた。

「素晴らしいじゃないか。実に見事な演奏だ。」
「秋元先生、ブラスバンドお詳しいんですね?」
「いや…素人が聞いてもわかる。他とはレベルが違うよ。」

確かに…俺が聞いても分かる。音の深さっていうのか?
聴いていて包みこまれるような暖かさがある。
しかし…どうだ?先生のこの顔は。まるで恋をしている少年じゃないか。
プロデューサーの顔というよりは…

課題曲に続いて自由曲の演奏が始まった。
「元禄」の重厚なメロディが流れる。

徐々に盛り上がる曲。演奏は完璧だった。
終盤、一人の少女がソロを取った。トランペットだ。
一瞬…ほんの僅かに音が歪んだ。足元の砂利でほんの僅かに歩幅がずれた…そんな程度のずれだった。しかし…その僅かな綻びはその後の演奏に明らかに動揺を与えた。微妙なバランスの狂い…それを修正しようと産まれた焦りは微かな不協和音を生み出した。

演奏終了…観客の拍手に頭を下げるメンバーには明らかな落胆の表情があった。
顔を押さえて涙を流す生徒もいた。

「戸賀崎…楽屋に行くぞ。入らせてもらう手筈は整えてある。」
「え?そんな事まで…?」
「大丈夫だ、声はかけないし姿も隠しておくから。
どうしても確かめておきたい事がある。」

シーン2. | Home | AVANT-TITLE

Comment

今回は吹奏楽ですか!
僕も経験あるんでめちゃめちゃ嬉しいです。
娘さんの影響ですかね?(o^^o)

2012.01.10 (Tue) | つれお #- | URL | Edit

>>つれおさん

吹奏楽、もちろん…
おっと、ここでも種明かしは押さえさせてくださいませ(笑)
ブラスバンド、いいですよね~

2012.01.10 (Tue) | 四谷 #mQop/nM. | URL | Edit

2ちゃんで古畑読み始めてから大好きです!
ちなみにあっちゃん神推しです!!!
あとはDDです(*_*)

1つ気になってしまい初めてコメします。
アナウンスは第八で、その後の文中に第6と表記がありますが、、、??

2012.01.12 (Thu) | まろん #8Zcb/IVM | URL | Edit

>>まろんさん

コメントありがとうございます!
あっちゃん推しですか。今まで余り登場機会が無くてすみませんです…
あ、アナウンスの件ご指摘ありがとうございます。
完全に私の間違いです~<(_ _)>
訂正させていただきました。

これからも遠慮なくご意見、ご感想お願いしますね。

2012.01.12 (Thu) | 四谷 #mQop/nM. | URL | Edit

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