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28.満天の星

落ちてきそうな程の星空が広がった。
一体こんな多くの星がどこに隠れていたんだろう…
そう思わずにいられない程の圧倒的な星空だった。

幾つかの明る材料とその何倍もの悲観的な材料が出揃って迎えた最初の夜だった。
各班のリーダーと秦が熾された焚火の前で集まって話を始めた。

「一番幸いだったのは水が確保できた事だね…ありがとう。才加、佐江。」
高橋の言葉に二人が顔を見合わせてほほ笑む。
一度仲たがいをした二人であったが、難局を迎え蟠りは解けようとしていた。
「すぐ近くに池があったのはラッキーだったね。水も綺麗そうだし…」
「身体を拭いたりも出来るし。ホントこれだけは良かった。」
「問題は食糧か…」
大島が申し訳なさそうにため息をついた。

「仕方ないよ。魚を釣ろうにも道具は無いし。
椰子の実は何とか確保出来からいいじゃない。当面、それで飢えはしのげるし。」
前田がフォローするかのように言う。
「あっちゃんもありがとう。草を敷き詰めてくれたから、すごく柔らかくて快適だよ。
雨が降っても簡単な屋根があるから大丈夫そうだし。」
高橋の言葉に前田がにこっと笑う。手は切り傷だらけでボロボロだ。

「とにかく、また明日だね。明るくなってから考えよう。
じゃ、さっき決めたように今日は1時間おきに3人が起きて見張りをするって事で。」
高橋の言葉を合図に輪が解けた。全員が身を寄せ合うように身体を横たえた。

高橋が空を見上げてその満天の星を見上げていると、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえてきた。無理もない…まだ高校生のコだっているんだ。心細くなるのは当たり前だ。私だって不安で心が押しつぶされそうだ。でもダメだ。私が…私たちが母親になってあげないと。きっと…きっとこの子たちは私が守ってみせる。いや…みんなで力を合わせて絶対に帰るんだ。

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