スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

25.不自然な状況


「おかしな事って?」
「はい…辻褄というか…不自然と言うか…
すみません。こんな時に突然こんな事を言い出してしまって。でも…」
「いいの。何でも言って。私なんて全然考えすら浮かんでこなくて。」
高橋が秦に言う。篠田も頷いた。

「あの…みなさん、どのあたりまで覚えていらしゃいますか?」
「どのあたりって…飛行機が激しく揺れ出して…ぐーんって落ちてって…」
「そう…急に耳が痛くなって…あとは覚えてない。」
「うん。酸素マスクが落ちてきて…怖くて…」
みんな記憶を引出しから引っ張り出すかのような表情で話している。
秦と玲奈が顔を見合わせて頷く。

「私たちも同じようなものです。
あの…みなさん、飛行機が海に墜落して、私たちは流されてここにたどり着いた…
そんな風に思ってませんか?」
「え?そうじゃないの?」
前田が秦の顔を見る。何を言い出すの?と言いたげな表情だ。

「あ…いえ…あのですね、もし飛行機があの状態のまま墜落していたら…
恐らく私たちは全員即死してると思います。
耳が痛くなったのは一気に降下していたから…海面とはいえ衝撃は相当のものになるでしょうから。」
「じゃあ、私たちはどうやって助かったんだろう?」
峯岸が腕を組んで考え込む。

「不時着したんじゃ?」
大島がはっと思いついたように言う。
高橋も小嶋もそうそう…と言いたげに首を縦に振る。

「でも…私たち救命胴衣も何もつけてませんでした。
もし、無事に不時着出来てそこから避難出来ていた…としても、救命胴衣無しで漂流…
そしてここへ流れ着く…なんて事はあり得ないと思います。それに…」
秦がそっと左腕を目の前に掲げた。

「みなさん…時計は動いてますか?」
そう言われて、みんな一斉に自分の腕時計を見た。
「あれ…動いてない。っていうか、表示が消えてる…」
「私のは針が止まってるよ。」
「私のも。」
秦が話を続ける。

「恐らくどこかで磁場の影響か何かを受けたのでしょう…電池式の時計が狂ってしまってます。
ですが、幸い私の時計は機械式でしたので、まだ動いています。
ダイヴァーズウォッチだったので海の水でも大丈夫だったのが幸いしました。」
秦が時計の盤面を見せる。ロレックスのシードゥエラーだ。

「今日は3月9日…私たちが日本を離れてもう3日も経っているんです。」
「え?どういう事?」
「私たちは3日間も…意識をなくしていたって事になるんです。」

何かがおかしい…そこにいる全員が秦がそう言う事を理解出来た。
だが、その「何か」がわからない。
それは秦も同じだった。

26.参謀 | Home | 24.生き残った34人

Comment

Post comment

Secret

Page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。