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先頭の平嶋から45秒差で高柳。そこから10秒差で篠田と仁藤。
優勝争いは完全にこの4校に絞られた。近年稀にみるデットヒートだ。

4人の中で経験・実力、ともに圧倒的なのは篠田だ。
今期の学生ランキングも堂々の4位。10000の持ちタイムでも他の3人に2分近い差をつけている。
早い段階で篠田が先頭に立ち、秋英の4連覇が達成される…というのが順当な見方だった。
しかし、今年の箱根がすんなりそんなシナリオ通りに終わるとは、もう誰も思っていなかった。
観客も走ってる選手たちも。


先頭の平嶋は落ち着いてレースに入っていた。
去年に続いてのアンカー起用である。平嶋の安定感は聖ヴィーナスの中でも抜群だった。
トラックでは目立った記録はない。しかし毎年駅伝シーズンになるときまって調子を上げてきて
チームに欠かすことが出来ない戦力になるのだった。
この箱根を最後に卒業後は競技の第一線から退く事をもう決めている平嶋にとって、
最後の晴れ舞台が用意されいていた。


高柳は程良い緊張感の中で走っていた。
初めての箱根。10区は都心へと戻っていくルートだ。沿道の歓声もひときわ多くなっていく。
走りぬけるすぐ側から大きな声がかかる。

「選抜!頑張れ!」「学連選抜!行け!」

コアな箱根フリークが多い5区の宮の下や小涌園なんかでは、チーム名じゃなく選手個人の名前で応援の声が飛ぶ事が良く知られている。この辺りはそこまでではない一般の観衆も多い。だから、自然と応援の声は学校名になる。

高柳はむしろそれが嬉しかった。
そう…学連選抜…それが私のチーム。

私は自分のチームの為に走ってる。
みんなが必死になって繋いできた襷を、私はキャプテンとしてゴールへ運んでいる。
戸賀崎さん、私をアンカーに選んでくれてありがとうございます。
最初、この選抜に呼ばれた時、私は走る意味を見つけられずにいた。
でも、今は違う。私にとって最初で最後の箱根。

私はとうとう自分のチームの為に走る事が出来てる。

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