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走り終えた小森の頭をくしゃくしゃにかきまわしながら柏木由紀は笑った。
「もー。キャプテン、やめてくださいー。小森疲れてるんですからぁ。」
小森は半分笑いながら半分真顔で訴えた。
「いや、小森。私はこう見えても感動してるんだよ。
アンタ、やっぱりやれば出来る子だったんだよ。」
「なんですかあ?まるで普段は何もできない子みたいじゃないですかあ。」
小森は頬をぷうっと膨らませた。

往路勝負…
麻友と私で作ったリードを残りの3人で守り切る。そこで勢いが生まれれば十分戦える。
秋英とも慶育とも。そんな戦略を私はたてた。
その戦略は失敗だった…一度はそう思った。でも、それはただの思い上がりだった。
現実に今トップを走ってるのはウチだ。紛れもなく、今勢いはウチにある。
それを作ったのは、ともみとこの小森だ。
そうなんだ。勢いなんて、狙って作るものなんかじゃない。
去年の私はそんな事を考えて走ったんじゃない。麻友だってそうだ。
純粋な走りだけが本当の勢いを生むんだ。

今更気づくなんてな。私はもうこの箱根を走る事はない。
そう思うと、目の前の小森の笑顔が訳もなく眩しく見えた。

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