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よろけるような足取りの菊地をあっという間に市川が抜く。

あれ?菊地さん…なんだぁ。遊んでもらえると思ったのに…
そう言いたげな表情で抜かれても菊地は全く反応出来なかった。

冷たい風が心地いい。
頬にぶつかる雪の感覚すら楽しみながら市川は走った。
ここまで貯め込んだエネルギーを一気に発散させるかのような走りだった。
後方を振りかえる事はしない。前しか見えない、見ない。
顔には笑顔すら浮かんでいた。

大きな橋を渡る。左手の視界が開ける。湘南大橋にさしかかった。
「海だー」
暗い冬の海が視界に広がる。市川は大きく息を吸った。
海の匂いがする。そっか、もうあと3キロくらい…
もうちょっと走りたかったなぁ…
あ、ダメダメ、そんな事考えちゃ。残り3キロ、力を残さないよう…ダッシュだ!

早くも市川が襷を外した。笑顔が消える。腕を振る。

「あの子…やってくれちゃったよ…」
4区の大場美奈がグラウンドコートを脱ぎすてた。
「美奈…思いっきり楽しんで。はるぅが待ってるから。」
付き添いの島崎遥香の声ににっこりほほ笑む。
「大丈夫、私の仕事は…はるぅに襷を繋ぐ事だけ…そう監督に言われてるからね。」

大場は中継所に飛び込んでくる市川に大きく両手を振った。


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