スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

41



中継所では3区のランナーが横一列に並んでいた。
身体を小刻みに揺らしながら選手の到着を待つ。
緩いカーブになっているため中継ゾーンに入ってくるまでは誰が先に来るか、選手にはわからない。

「久美さん!ラスト!」
中継所のすぐ横にいた珠理奈が大きな声を上げる。
「学連選抜!」
係員の声がかかる。
最初に中継所に飛び込んできたのは矢神だった。両手で高々と真っ白な襷を掲げる。
「みおりん、お願い!」
「わかりました~!」
1区に続き学連選抜がトップで襷を繋いだ。

僅かの差で飛び込んできたのは慶育大の秋元才加だ。
5秒…6秒…7秒差。
声にならない叫びを上げてフラッシュグリーンの襷が3区の菊地あやかに渡る。

並ぶように前田敦子が襷を高城亜樹に繋いだ。
最後は2人の前に出る事は出来なかったが、1区最下位から17人抜き。堂々の区間新記録だ。

柏木由紀は…
3人に遅れる事30秒。最後は歩くようなスピードで中継所に入った。
スカイブルーの襷を北原里英に渡すとその場で意識を失うように倒れ込む。

「はぁ…はぁ…あ…珠理奈…どう…したの?今日…は…」
「いや…ちょっと。テレビで見てるのも何だなって思って。」
「おっきな声だったよね。珠理奈。」
大矢が肘で珠理奈をつつきながら笑う。
「いや…あの。」
「聞こえて…たよ。珠理…奈の声。」
「え?まさか。」
「こらーーーってね。もう…先輩なんだか…らさ。これでも…」
「久美先輩…ナイスランです。参ったっす。最後のあの粘り出されてたら…
合宿のロードレース、私負けてたっす。」
珠理奈が拳を矢神の前につきだす。矢神が笑って自分の拳をそれに合わせる。


「さすがだね。最後アンタの顔みた瞬間気おくれしちゃった。」
前田が秋元に右手を差し出した。
「何言ってるの。こんな区間新…多分、私の子供が走るようになる頃まで破られないよ。」
秋元が力強く前田の手を握り返す。
「そうかな…案外、来年辺りあっさり塗り替えられちゃうかも。」
前田が矢神と珠理奈の方を見る。
「そうかもね…。とにかく、最後の最後、私たちはあの子の気迫に勝てなかったって事で。」
「その通り。ちょっと悔しいな。でも…とりあえず健闘を称える握手でもしに行こうか。」
前田と秋元はゆっくり歩き出した。

「ご…ごめ…んね…」
「いいんですよ。なにもしゃべらないでください。」
マネージャーの石田晴香の差し出す水を何とか口に運ぶ。柏木の目には涙があった。
「本当…に。わ…わたし…が」
言葉が続かない。柏木はタオルで顔を覆った。
石田の携帯電話が鳴る。
「キャプテン。浦野監督からです。」
「すみません…計算が…私が…」
「いいんだよ。謝る事はなにもない。それにそんなに悪いタイムじゃないぞ。
後は後ろのメンバーを信じろ。な?」
「はい…落ち着いたら芦ノ湖に向かいます。」
電話を切ると柏木はよろよろと立ちあがった。
「キャプテン…」
「そうだよね。計算とか戦略とか…そんな事よりも大事な事ってあるんだよね。」
柏木は空を見上げた。
「だから…駅伝は面白いんだよね。」
空からはらはらと白いものが舞い始めていた。

明日の更新 | Home | 40

Comment

このあとどういう展開になるか学連がそのまま逃げ切るかもしくは他の3校が反撃にでるか・・・期待大!

2011.12.11 (Sun) | アイヌラックル #- | URL | Edit

>>アイヌラックルさん

この後の展開…
実は私もワクワクしながら書いてます。
どうなるんでしょうか…(*^^)v

2011.12.12 (Mon) | 四谷 #mQop/nM. | URL | Edit

Post comment

Secret

Page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。