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「松井さん。」
金町総合大の高柳がストレッチをする珠理奈に声をかけた。
同じ名古屋地区の大学で何度か記録会で顔を合わせてはいるが、直接話す事は初めてだ。中京地区では名の知れた選手である高柳だったが、全国区の知名度を持つ珠理奈に話しかけるのはやはり気を使ってしまう。

「あ、珠理奈って呼んでもらっていいっすよ。玲奈さんと間違えやすいし。高柳さん、先輩なんで。」
珠理奈は高柳を見て言った。

あれ?意外とフレンドリーに話すんじゃないか…?
なんか、近寄りがたいイメージあったんだけど、結構可愛いトコあるんじゃないかな?高柳は思った。

「ね?学連選抜ってどう思う?なんか、私、いまいちモチベーションが上がらなくて…。
やっぱり駅伝って自分のチームの為に走るものでしょ?ウチの学校、今年こそって思ってたんだけど…
ここで幾ら頑張っても…ねぇ。」

「そもそも陸上競技って、個人種目じゃないですか?
私は、あんまりチームの為とか、母校の栄誉とかそんな事には興味ないんで…」
珠理奈はクールに言い放った。

「だって、あなただってサカジョのエースとして箱根目指してたんでしょ?」

「…」
まただ…珠理奈はちょっとうんざりした思いに包まれた。
大体、駅伝なんて競技でこんな風に盛り上がるのは日本だけなんだ。自分の目標はマラソンという舞台で世界と戦う事だ。オリンピックに駅伝なんて種目はない。学生時代にハーフの距離を試合で踏める機会をなるべく作っておきたいから駅伝を走ってるだけ。だから、誘われた秋英や慶育にも行かなかった。名門と言われる所は、自分を殺して走らないといけないと思ったから。

高柳には珠理奈が急に不機嫌になったように思えた。
やっぱり、噂通りの子なんだ。
高柳はそれ以上話すのを諦めた。

どうすればいい?私は何の為に、箱根という夢舞台に臨めばいいんだろう…
誰かが答えを教えてくれるのだろうか?

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