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「11位…か。」
島田が最終結果が打ち出されたリザルトを見ながらつぶやいた。
「10位のサカジョとは11秒差、城西とは18秒だってさ。」
仲俣もノートパソコンを畳んだままつぶやく。
「一人2秒か…ほんの少しの差に思えるんだけどね。」
大場も二人の横に腰をおろして空を見上げていた。
「さ、帰ろうか。私たちはこれで終わった訳じゃないし。
来年…来年こそこの2秒を取り戻しにこなくちゃ。」
島田が立ちあがって芝生を払った。

出場権が取れれば、2月の箱根までには怪我は完治できるはずだった。でも、これで良かったのかもしれない。自分が出れない事で間違いなく予選会で他の選手に負担がかかった事は間違いない。また一から積み上げればいい。島田の常に前向きなこの姿勢が、若いチームを引っ張ってきていたのだ。

「すまんが、先に帰ってくれないか?」
「監督、どうしたんですか?」
「ああ、陸連のお偉いさんに呼ばれてな。
顔出してくる、これでも指導者としては新参者なんでな。」

戸賀崎智信は役員テントの方へ歩き出した。彼が就任する事で四ツ谷大は短期間で実績を残す事が出来たといってもいいだろう。指導者としては若手であったが、名将と言われる秋英大の秋元康総監督の下でノウハウを学び、四ツ谷大の監督に就任すると、その熱血指導で若いチームを引っ張った。選手からの信望も厚く、彼自身今年の大会に期するものは大きかった。

「残念だったね。」
居並ぶ陸連関係者に声をかけられ、戸賀崎は実感した。自分たちは負けたのだと。
「ところで、来てもらったのは他でもない。学連選抜の監督を引きうけてもらいたくてね。」
「私が…ですか?いえ…私はまだ若輩です。他にふさわしい方が…」
そう言いかけたところで奥のほうにいた男から声がかかった。
「私が推薦したんだよ。どうだ?お前にとっても悪い話じゃないだろ?」
秋元だった。

戸賀崎は一瞬躊躇したが、結局このオファーを受ける事にした。
何か得るものがあるかもしれない。
何を得る事が出来るのか…それは後で考えればいい事だ。

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