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残り1校…

祈るようにステージの速報板を見つめる周りのメンバーからちょっと離れた場所で珠理奈は腕組をしていた。確かに、箱根という大舞台を経験する事は自分にとってプラスになる事は違いない。かといって、出れないからといって、今後のキャリアにとってマイナスになるわけでもない。むしろ、一番故障のリスクの高いこの時期に2度ピークを持っていく調整をしなくていい分、負担は少ないといっていいだろう。
それに、まだ私には今年出れなくてもあと2回チャンスは残っている。

「第9位…城西国際大学。」

隅のほうで歓声が上がった以外、大きなため息が会場内に響いた。

珠理奈も一瞬だけ空を見上げた。
やはり負ける事は悔しい。
もし玲奈より前にゴールしていたらこんな風に思わなかっただろうが…

珠理奈の一番近くにいた矢神がその場に泣き崩れる。
須田も大矢も抱き合ったまま顔を伏せた。

玲奈が矢神を抱きかかえて声をかける。
「この悔しさを来年活かそ?ね。きっとくーみんなら出来るからさ。」
「ごめんなさい…ごめんなさい…私が…わた…玲奈さん…最後の…最後の箱根なのに…」
矢神の言葉は涙で途切れた。

珠理奈には周りの光景が遠くの世界での話のように思えた。
冷めた目線で見てるわけではない。むしろ、自分が玲奈に遅れないタイムで入って入れば…という思いはあった。
でも、私は泣かない。泣くって事はずるい事だと思っている。
いい結果も悪い結果も受け入れる。泣きたかったらその分トレーニングすればいい。
それが珠理奈の哲学だった。

10位の栄女子大と城西国際大の総合タイム差は7秒。
一人当たり1秒も無い僅差だった。

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