スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

5


「まさかサカジョが…ね。」
大場は島田の肩を借りてやっとの思いで立ちながら言った。まだ息が弾んでいる。
「怖いね…駅伝って。たった一人のブレーキがチーム全体に響いてくる。」
島田が答える。目線は仲俣がデータを打ち込むノートパソコンのモニターに注がれたままだ。

「う~ん…後半の選手の正式ラップが取れないから…概算しか出ない。
テレビでも、結果発表を引っ張る為にもうデータ出してないし…」
仲俣がいらついた顔をモニターから上げる。
「仕方ないですよ。後は結果を待ちましょ。」
大場に次いでチーム2位でフィニッシュした市川が笑う。
この子のいいところは、この無邪気さだ。素直だから、教わった事をどんどん吸収して速くなる。
だからこそ、去年立てなかった大舞台を何とか経験させてあげたい…島田は思った。

「たぶん…多分だけど、ウチと城西国際大、サカジョが僅差だと思う。」
仲俣がデータを確認して言う。
「よし。前のほうに行こうか。そろそろ結果発表だ。」
島田が言った。他の部員たちもどれに続いた。

昭和記念公園の「みんなの広場」は東京ドーム2個分の広さを持つ広大な芝生広場だ。
その中に出場校の選手や関係者、報道関係者がひしめいていた。
用意されたステージを全員が注目する。

「結果を発表します。第1位…」
壇上には手書きのボードが用意されている。上位9校までが箱根への切符を手にする事が出来る。
9位の下に引かれた赤い線が天国と地獄の境目だ。

「第1位、順天堂大学。」
会場から大きな歓声があがる。この時点で上位校はある程度結果の予想はついているが、
それでも厳しい予選会を勝ち抜いた安堵感からか選手たちからは歓喜の涙がこぼれる。

「第2位、東北福祉大学。第3位、福岡大学…」
順位の発表が進むたびに、会場の空気が重苦しくなる。

「第8位、立命館アジア大学。」
どよめきが上がる。15キロ地点では12位だった立命アジア大が8位に入った。

残り切符は1枚。
島田は両手の指を組み、それを目の前に持っていき祈った。
大場も、市川も、島崎も、竹内も…仲俣もノートパソコンの画面を閉じ目を閉じて祈った。

6 | Home | 4

Comment

Post comment

Secret

Page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。