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松井玲奈がフィニッシュへ飛び込んできた。
テープを切るとその場に倒れ込む。何も残していない。
全てを出しつくしてのフィニッシュだった。

67分30秒76

予選会20キロの歴代3位に入る好記録だ。
20℃近くまで上がった気温を考えると驚異的な記録といっても良かった。

「玲奈!ナイスラン!スゴイ記録だよ。」
平田瑠香子がタオルを玲奈の肩にかけ、身体を抱き起こす。
「さ、アイシングしなきゃ。」
「いいの、みんなを待たなきゃ。」
玲奈は平田の肩を借りながら、今入ってきたフィニッシュラインのほうを見る。
珠理奈がラストスパートして入ってきた。

「何秒差ですか?」
膝に手を当てて珠理奈が平田に聞く。
「28秒。珠理奈、20キロのベストじゃない?スゴイよ。二人とも。」
「負けは負けっすよ。」
平田の手から乱暴にタオルを受け取りながら珠理奈が吐き捨てるように言う。
「他はどうなんすか?こんなトコでノタノタしてる訳にはいかないっすよ。」
「大丈夫。15キロ通過ではトップだから。」
「玲奈さん、箱根では栄女(サカジョ)のエースの看板、絶対降ろしてもらいますからね。絶対…負けないんだから…」
「珠理奈、またそんな事言って。私たちはチームメイトでしょ?」
平田の言葉に耳を貸すことなく、珠理奈はその場を後にした。
「まったくあの子は…」平田が肩をすくめた。キャプテンの私の言葉なんて聞いちゃいない。

玲奈はそんな不躾な珠理奈の言葉をむしろ微笑ましく思っていた。
この子の向上心は大したものだ。珠理奈は周りにも厳しいが、何より自分に厳しい。
きっと、ああいう姿は今の栄女に一番必要なのかもしれない。

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