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「一つ確認しときたいんですけど。」
「何だ?相変わらず慎重なんだな。昔のままだ。」

竜也さんは缶ビールを飲みながら言った。
そう広くないマンションの一室。乱雑に散らかっている。
竜也さんもそういい生活を送ってるようではなかった。

「僕は何をすればいいんですか?」
「ん?いきなりだな。そうだな…交渉役…かな。」
「交渉?違うでしょ?脅すんでしょ?」
「あくまでも交渉だよ。よりいい条件を引き出すためのな。」

竜也さんはえらく機嫌が良かった。やっぱり、月日は竜也さんも変えてしまったようだ。
なんというか、鋭さがなくなっていた。昔はもっとギラギラしていた。
もちろん悪い意味で。

「遠藤は竜也さんが殺ったんですか?」
「あ?だって、アイツ、俺を強請ってきやがったんだぜ。誰がヤクのルートを紹介してやったと思ってるんだ。
素人が調子に乗りやがって。」
「なんで、芸能人を狙ったんですか?」
「あのな、でっかい土産がいるんだよ。俺が上に行くにはな。なぁ。俺はお前と一緒に捕まってから何もかもがうまくいかなかくなった。あのときが俺のピークだったんだ。ムショを出てからもだよ。ヘマして捕まったヤツに組は冷たかったんだ。」
「偉い弁護士の先生をつけてもらったって言ってたじゃないですか?」
「あんなのは、組からのお情けだよ。たかが1年刑期短いだけじゃねぇか。」

僕はちょっとだけ寂しくなった。
僕のあこがれてた竜也さんはもういなかった。
これなら…

「ねぇ、竜也さん。こんな馬鹿なことはやめませんか?」

今ならこの人を止められる。
僕はそう思った。

「ダメだ。俺はこの世界じゃないと生きていけないんだ。おい。いまさら何言ってるんだ。」

竜也さんの手が小刻みに揺れている。その震えた指でタバコに火をつける。
大きく煙を吸い込み吐き出した。夢見るような表情になってくる。

クスリか…
そうだろうな。遠藤に流すだけでは済まなかったんだろう。

「な?ちまちまやるのはやめようぜ。絶好の獲物じゃないか。今をときめくAKBの皆さんだ。たっぷり美味しい汁を吸おうじゃないか。な?データは消えたけど、お前が強請れば大丈夫だって。生き証人なんだからさ。な?」

僕は何も答えずにいた。

「おい!何無視してんだよ!あ?いいのか?手を組まないっていうなら、お前のやったことを全部ばらすぜ。いいんだな?可哀想に。惚れた男が自分の親が死んだ原因を作ったヤツだなんて知ったらどうすんだろうな。」

竜也さん。そんなこと、もうわさみんは知ってるよ。
彼女はこんな事でつぶれたりしない。僕はなんて思われてもいいさ。
そう、僕には彼女のそばにいる資格なんてないんだから。

ね、そんなことより僕も竜也さんに話さないといけないことがあるんだ。
僕たちが捕まったのは…僕が佐藤さんに話したんだよ。全部ね。
だから、竜也さんがこんな風になっちゃったのも、そう僕のせいなんだよね。
でもね、竜也さん、クスリに手出しちゃダメだよ。竜也さんは弱いんだから。
もちろん僕も弱かった。でも、僕は守りたいものがあるから勝てた。
竜也さん、アンタにはそんなもの…あるかい?


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