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第29節


全国所長会議の席、悲喜交々の顔が会議室に並んだ。
その中で堂々と胸を張って席に座ってるのが湯浅と高柳だ。
一方で秋元と高橋の顔には生気がない。
「では、始めましょうか。まずは、本社営業統轄の人選についてを決めてしまおうと思います。みんな、気になってると思うからね。」
「そうですね。秋元社長、誰を選んだんでしょうか?」
「いや、ぜひみんなの意見を聞きたいね。この3ヶ月、それなりに色んな事があったからね。私の独断でなくマネージャーのみんなが納得いく人になってもらおうじゃないか。」
会議室に緊張が走った。お互い、顔を見合わせる。

最初に口を開いたのは金子だった。
「そりゃ、もうここは湯浅さんにお願いするのが筋だと思いますわ。この3ヶ月、ウチから転属したメンバー含めてよう名古屋をまとめてらっしゃった。売上実績みても文句なしやし、何より営業統轄いうたら、キャリアがものを言う世界や。所長からいきなりの昇格ちゅうのは荷が重いですからな。」
湯浅は表情を崩さず金子の話を聞いていた。

「なるほどな。確かにここのところの名古屋の躍進ぶりには目を見張るものがある。本社の停滞ムードを払拭するには、湯浅君にお願いするというのはいい考えだな。」
戸賀崎が頷きながら秋元を見る。秋元は目をつぶったままだ。

「ちょっといいですか?」高橋が手を上げる。
「今回の秋元社長の狙いはなんだったんでしょう?湯浅さんが昇格するなら、最初からそう社長から指示があっても良かったと思います。順番的にはそうなんですから。でも、社長はそうお考えではないんじゃないでしょうか?」

「どういう事ですか?湯浅さんでは統轄にふさわしくないって社社長が思われてるって聞こえますけど?」すぐに反論したのは高柳だ。

「いえ、そうじゃないです。今回、敢えて3か月待ったのは、やはり現場を良く知る者から選びたい…そろそろ現場の声を経営に活かす時期だって思われたからじゃないでしょうか?」

「高橋は誰が適任だと思うんだ?何なら立候補でも構わんが。」

戸賀崎の言葉に高橋は首を振る。
「いえ、私は相応しくないと思います。私は柏木所長を推薦します。」

「え?ちょっと待ってください。私なんか無理です。絶対。それに実績なんて全然ないし。第一、まだ所長としてすら相応しくないと思ってるのに…」
柏木は慌てて目の前で両手を振って答えた。

「現場を知る者を…それなら、こういうのはいかがでしょう?」
湯浅がゆっくりその場に立ちあがった。
「金子支社長にも戸賀崎役員にもご支持頂けてるものと自惚れて申し上げますが、ここはぜひ私に営業のハンドリングという重責を担わせて頂きたい…と考えます。しかし、高橋所長のおっしゃる事もごもっとも。では、副統轄という事で名古屋第1営業所の高柳を就任させるというのは。営業実績的にも文句ないものを残しておりますし、大阪から移籍してきたメンバーや今一つ伸び悩んでいたメンバーに売り上げを飛躍的に伸ばしたのも彼女が今の体制を率いるようになってからです。本社に新しい風を吹かせる為にもここは思い切った血の入れ替えが必要では?いかがでしょうか?高橋さん。」

「確かに…私は異論ありません。」高橋は頷いた。秋元才加も柏木も首を縦に振る。
「では…どうでしょう?秋元社長…」
「ちょっと待ってください。」
戸賀崎の言葉を遮って末席から声が上がった。

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