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第16節


テレビ塔が見渡せるオフィスの会議室。名古屋支社の幹部が顔を揃えていた。
支社長の湯浅、第1営業所の平田璃香子、第2の高柳明音、第3の梅本まどか、3人の所長だ。
向かい側の席からかかる説明の声に耳を傾けていた。

「このままじゃ、いつまでたってもイナカもん扱いとちゃいますか?ウチらはもっともっとやれるはずですわ。その為にはここで勢力拡大しとかんといかんちゅう事ですやん。」
立ちあがって熱弁を振るうのは大阪支社営業所長の山本彩だ。
隣には支社長の金子が腕を組んで座っている。
「みなさんも、前田さん達がああなったのをご存じでっしゃろ?出来レースや思われとったのが俄然面白うなってきたんじゃありまへんか?」
「それはそうだけど…おみゃーさん、何を考えとらす?」
最初に口を開いたのは、梅本だった。
「まー、こんな騒動が起きるのはやっとかめだで、ワクワクはするけどね。」
平田も他人事のような顔だ。

「アンタらな、言わせてもらうけど、そんな眠たい事言うとるからいつまでたっても、いい人材抱えとって上に行けへんのや。もうちょっとおつむのネジしめとかんかい?」
山本が声を荒らげる。
「まあまぁ。山本。今日は喧嘩しにきたんじゃないだろ?」
金子が山本をなだめるように笑いかける。

「私からも説明しましょう。いいですか?保険業界は正直マーケットが飽和状態です。日本人は生命保険が大好きですからね。実に保険加入率は97%に及びます。これ以上新しくマーケットを拡大していく事は事実上出来ません。ですから、自然と営業は他社の契約を引っ剥がし乗り換えをさせる…という事になります。」
金子の説明に一同は頷く。
「もちろん、東京中心で戦略を立てる事は構いません。しかし、皆さんご存じの通り、良い漁場に住む魚は餌を食わなくなるものです。その証拠に高い売り上げを誇る本社の売り上げ伸び率はこの所停滞の一途を辿っております。」

「金子さん。講釈はいい。本題を聞こうじゃないか。」
湯浅が髭を触りながら言う。顔には含み笑いが浮かぶ。
「ウチらがこの会社を牛耳っちゃおうゆ話ですわ。湯浅さん。
お互いここで手組むいうんは、悪い考えやない…思いますけど。」
山本が涼しい顔で言う。

「組む…って?どえりゃあ現実味の無い話だけど…?」平田が顔をしかめる。
「あんな、このままやといつまでたっても、本社主導の営業戦略なんて変わらへん
。まずは、中枢部を握る事を考えるんや。ウチらが組めば、本社の統轄のポジション…取れると思わへんか?」

「どうやって?組むって言っても…」梅本が首をかしげる。
「ウチの渡辺、山田、福本…なかなかええ客つかんどりまっせ。
なぁ、湯浅さん、外交員の営業所移籍は本人の希望があれば自由やな?」

「ああ…確かにな。しかし、そうなると大阪の売り上げは激減だろう?君はどうするんだ?」
湯浅の言葉に山本は不敵な笑顔を浮かべる。

「ウチは所長降りますわ。いち外交員に戻って、アンタらの下につく。
ウチの売り上げ…結構美味しいモンやと思いますけど?
金子さんも同じ思いですわ。ここは一旦湯浅さん。アンタに上登ってもらいましょか。」

「いいのか?」湯浅が言う。笑いを必死に噛み殺している。
金子と山本が顔を見合わせて頷く。

「ただし、条件を一つだけ飲んでもらいましょか?」山本が椅子に腰を降ろして言う。
「条件?」
「ええ。名古屋も一つにまとまってもらいましょ。
そうやな、高柳さん。アンタの下にだったら…ウチらの事まるっと預けますわ。」
ずっと黙っていた高柳がふっと一息ついて立ちあがった。

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Comment

リカちゃんが名古屋弁を話す姿が想像できないです。
何か河村市長のイメージが強すぎて…。

すみません。SKEファンで地元民感覚で見てしまいまして。
名古屋と大阪で手を組んで東京に立ち向かう。何か首長さんたちがやろうとしていることとマッチしていますね。

どうなるか楽しみです。

2011.11.23 (Wed) | 杉上左京 #- | URL | Edit

>>杉上さん

名古屋弁は、すみません。ちょっとわざと喋ってもらいました。
ここは「名古屋」を強調したくて。

実は、私5年ほど名古屋に住んでた事もあります。

2011.11.23 (Wed) | 四谷 #mQop/nM. | URL | Edit

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