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第12節

藤江れいなは下を向いたまま泣き続けていた。
秋元もなんと声をかけていいのか困って腕組みをしている。

暫くして大島が痺れを切らしたように口を開く。
「で?その程度の事で、席を立って帰ってきたの?」
「その程度って…ちょと優子、それは言い過ぎじゃない?」
秋元がたしなめるように言う。
「言い過ぎなんかじゃないよ。大体さ、ちょっと飲みの席で手を握られたくらいでびーびー泣いてちゃ保険なんて売れないっつうの。逆に胸の一つでも触らせて契約ぶんどってくる位やんんきゃ。」

「…っく…わ…私はそこまで…出来ま…せん。優子さんとは違うんです…」
「違うってなんだよ?藤江?お前、この仕事舐めてんのか?」
「だって…そんな事…私、キャバクラの接客みた いな事までして、契約なんて…」
「なんだって?お前な…」

「優子!もういいから。ちょっと表に出な。」秋元が大島を部屋の外へ連れ出した。

「な?言い過ぎだって。藤江はまだプランナーに上がったばかりなんだよ。
優子が期待してるのはわかるけどさ。」
「今厳しくしないと、あいつ等にはこの先があるんだよ。私はこの第2営業所に来た子たちには
全員成長していって欲しいんだよ。第1とか第3の若いヤツらには負けて欲しくない…だからさ…」
「わかってるって。でもさ、アンタが嫌われ役にならなくていいじゃんか。
私がいつまでたっても鬼になり切れないのが悪いんだけど…」

「今なんだよ。今が大事な時期なんだよ。若手の育成ってのも、リーダーの必須条件なんだ。悔しいけど、今のウチじゃ実績で第1に到底かなわない。だったら、私たちがやってる事が如何に将来の会社にとって正しい事なのかをわからせないと…その為 には、藤江には頑張ってもらわないと…私は鬼って言われても何でも構わないよ。」
大島の大きな目には涙が浮かんでいる。

「すまないね…ホント。優子にはいつも辛い思いをさせちゃって。」
「いいんだよ。だから、才加。」
「わかってる。私もようやく覚悟が出来たからさ。」

秋元は大島の手を力強く握った。

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