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chapter-29

「戸賀崎。この程度の考えしか思い浮かばなかったか。正直がっかりだな。」
取締役会の席で秋元は口元に薄ら笑いを浮かべて言った。

「この程度…?大株主からの臨時株主総会招集請求ですよ。取締役会としては、請求に従い手続きを取るよう決議しなくてはならない事は会長もご存じでしょう。」
戸賀崎は取締役会の末席から声を上げた。

「会社法341条における取締役の解任…か。戸賀崎、決議案を可決するには、どういう用件を満たす必要がある事は上場企業の役員であるお前なら当然知ってるよな?」
久保田が椅子に腰かけたまま言う。やはり表情には余裕がある。
「ええ。ですが、可決する事だけが請求された株主の目的ではないのでしょうか?」
「戸賀崎。お前、恩を仇で返すのか?どれだけ会長が今までお前に目をかけてやったのかを忘れたのか?」
窪田の声が大きくなる。
「忘れてなんかいませんよ。私はただ、取締役として株主の当然の権利…と言ってるだけです。」
戸賀崎は居並ぶ役員の冷たい視線を一身に受け言葉を続けた。

「まあ。いいだろう。この…株式会社スタンドアローンという会社、確か上場当時からの株主だったな。確か。保有比率は発行済株式数の6.1%か。役員の解任決議は出席した議決権の半数以上の賛成が必要だが…戸賀崎。お前も泥船に乗るような事をするとは…いつまでたっても大人になれなかったようだな。この勝負、何の意味があるんだ?」
秋元が静かな声で言う。

「勝つことだけが大切な事じゃないでしょう。負けるとわかってても立たなきゃいけない時はあるんだ。
会長、あなたが良く言ってた事だったと思いますけど?」

「では、他に議題が無いようであれば今日の取締役会はこれで閉会とします。」
窪田が戸賀崎をにらみながら立ちあがった。

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