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chapter-11


取締役会の席上、戸賀崎はこの件が議事として上がっていない事に強い違和感を感じていた。
議題としてあがっているのは、売上・利益の月次推移、間接部門のコスト圧縮、次のM&Aと財務戦略…上場企業としては、ごく当たり前の内容ではあるのだが、何か大事なものが抜け落ちている。そんな気がして仕方なかった。昔…とは言っても僅か1年かそこらだ…はもっと熱い議論が交わされていたように思える。戸賀崎はふと、首元のネクタイを緩めようとして思った。そういえば、俺がこんな恰好をするなんて、サプライズ発表の時に着るタキシードくらいだったのにな…

「ちょっと戸賀崎は残ってくれるか?」
会議が終わり秋元が言った。窪田もその場に残っている。
「反応はどうだ?」
「ええ…やはり相当動揺が大きいようです。柏木だけでなく、メンバー全員が浮足立ってます。ここはやはり会長がプロデューサーとして…」
「そんなことは聞いてないよ。」秋元が戸賀崎の言葉を遮った。
「菊地の事だよ。しっかりフォローしてくれないと困るよ。これからのAKBを引っ張っていくのは彼女なんだから。」
「はあ…秋元会長。そのあたりの狙いを私にも教えてはいただけませんか?私もみんなを納得させるには会長の真意を理解しておかないと…」
「戸賀崎。何年会長の下で仕事してるんだ?それに、お前は今はただの劇場支配人じゃない。上場企業の人事担当役員という立場にあるという事を忘れるな。それくらい汲み取らなくて何が取締役だ。弛んでるんじゃないのか?」窪田が厳しい口調で言う。
「まぁいい。戸賀崎、菊地に伝えてくれ。今日の夜の新曲の企画会議に参加しなさい…と。」
「え?菊地に…ですか?」
「ああ。これから菊地にはセンターとしての英才教育を施していく。ただのお飾りのセンターはもういらないんだよ、戸賀崎。」
秋元と窪田は席を立った。

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