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110.

「なんで優子さんまでいるんですか?」
「いちゃダメか?なんだよ、邪魔もの扱いすんなよな。」
「ちょっとさっしー。優子さん、ずっとさっしーの事ばっか話してたんだよ?」
「私の事?また、ある事ない事言ってたんでしょ?島田。」
「もう、ほんとかわいくないなあ…」

徐々に静けさを取り戻し始めたフィニッシュエリア。
指原莉乃はようやく報道陣からの取材攻勢から解放され、自チームの陣取る辺りへと戻ろうとしていた。島田晴香と一緒にいたのは大島優子だった。やはり取材を受けていたのだろうか、まだ記者エリアの傍にいた。

「遠くからだけど聞いてたよ。シード取ったってのに、反省の言葉ばっかだったな。」
「そりゃそうですよ。今年は優勝狙ってましたからね。」
「ま、そーだろうな。」
大島も博多大を高く評価していたのだろう。指原の不機嫌そうな顔に納得したような答えを返した。
「来年は負けないよ。さっしー。」
「ん?島田、今年、ウチは慶育に勝ったなんて思ってないよ。なんだよ、実質総合優勝争いに絡んでたのと同等じゃねーか。金栗賞まで持ってくし。」
「負けは負けだよ。博多大は、総合9位。ウチは途中棄権。それが結果のすべてだよ。」


慶育大の走りは最後の最後まで見事だった。
10区の相笠萌は、とうとう追いすがる博多大・穴井、学連選抜の木下に影さえ踏ませなかっただけでなく、更に順位を2つ上げた。区間賞を獲得した、乃木坂大・秋元に僅か1秒差。これまでの区間記録を1分以上更新する見事なタイムだ。
学連選抜の木下も、また博多大の穴井も素晴らしい走りを見せた。
シードがほぼ確定した、残り3キロ。二人はそれを守ろうともせず、最後までお互いの気持ちを削り合うようなしのぎ合いを見せた。

最後の直線、100mで見せた穴井の鬼気迫る表情と、ゴール後に倒れこみ意識を失って担架で運ばれた木下の姿が、その激戦を物語っていた。


「そういえば…」
「ん?どした、島田。」
思い出したように、島田がすっとんきょうな声を上げた。
「あ…あの、優子さんにも聞きたいんですけど。」
「ん?なんだよ?」
「ウチの真子…見てくれました?」
「ああ。もちろん。5区のエキスパートだった私がチェックしない訳ないだろ?」
「さっしーが…私に似てるって言うんですけど。あと、ウチの横山も。優子さん、どう思います?」
「真子が?小嶋真子が島田晴香に似てるって?指原、お前そんな事言ったのか?」
「言いましたよ。優子さんもそう思いませんでした?」
大島が視線を宙に泳がした。頭の中で何かを思い浮かべているような表情だ。

「うーん…島田さあ…悪いけどさあ。」
「はい?」
「少なくとも、真子は可愛いと思うぞ?真子スマイルとか言われて人気もあるじゃないか。ジャイアンって呼ばれてたお前と比べるのは…」
「いや、優子さん、ルックスの話じゃないっすよ。それに、何ですか?私、走りならともかくルックスで真子に負けてるつもりはないっすけど?」

島田が真面目な顔で大島に言った。

「まじで?」
「まじ?」
大島と指原が同時に島田に聞いた。
「マジに決まってるじゃないですか!」

大島と指原が腹を抱える仕草で笑った。
同時に同じ言葉を島田に返す。
「うるせーよ。島田。」


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