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80.

箱根駅伝が面白いのは、単純に優勝の行方を楽しむだけではない所だ。
各区間それぞれにドラマがあり、出場する選手すべてに物語がある。

「天国と地獄」

そう評されるのがシード権争いだ。

本戦で10位以内に入った学校には翌年の箱根出場権…すなわち「シード権」が与えられる。
10位に入れなかったチームは翌年、予選会に回らなくてはならない。
予選会に参加するのは、今年シード権を失ったチームだけではない。
憧れの晴れ舞台への切符を手に入れようと、虎視眈々狙いを定める数十校との戦いに臨まなくてはならないのだ。本戦の常連だった学校がシード落ちし、そのあと長きにわたって本戦に戻ってこれなくなったという事は少ないない。そして、その戦いは熾烈を極める。かつて2強の一角を占めていた慶育のここ数年の苦戦も、その厳しさを如実に物語っていた。

初出場でシード確保を果たせなかった博多大にとって、その厳しさを身に染みて感じた1年だった。
初出場を勝ち取った年よりも何倍もキツい1年だった。そして、予選会をトップ通過できたからこそ…今年こそは絶対にシードを勝ち取りたい。その想いが強かった。

いったんはブレーキを起こしたと思われた田島芽瑠だったが、その後の10キロを安定した走りで押し通した。ベストの走りには程遠かったが、それでも慶育・田口、秋英・森川と三人のグループを形成して8区へと襷を繋ごうとしていた。
大丈夫…8区にはエースが控えている。
指原がこの展開まで予測していたとは到底思えないが、博多大は8区にエース・兒玉を用意していた。
いったん流れを失ったチームがそれを取り戻すには、並大抵の力では及ばない。
それが駅伝の怖さであり、おもしろさだ。

一方で悲壮感を漂わせて走っていたのは、秋英の森川彩香だった。
名門・秋英の一員として走る事。それは、誇りであり誰もが憧れる事だ。
しかし、今のこの展開が森川に足枷をかけていた。
現在の順位は14位。小田原で襷を受け取ってから、3つ順位を落としていた。
この後の8区には実力者の中西智代梨、9区にはエース・入山が控えている。
しかし、秋英がシード落ちを危惧するポジションで走る事を誰が想像していただろうか?
その事を一番感じていたのは走っている森川だった。
伝統のピンクの襷が、彼女を苦しめていた。

長い直線の先に中継所が見えた。
最初に襷を取ったのは慶育の谷口めぐ。谷口も田島も明らかに本来の調子ではない。
この暑さで完全に体調に支障をきたしての走りだ。
しかし、森川は違った。給水に失敗したわけではない。脚や腰にも何の異変もない。
監督車からの高橋みなみの掛け声は届いていなかった。
名門・秋英の礎を築いた高橋の声は…今の森川には重かった…

三人の中で最初に襷を繋いだのは慶育の谷口。同じ1年生の下口が満面の笑みで襷を受け取った。
その場に崩れ落ちるのを出迎えた小嶋真子と後藤萌咲がしっかりと受け止めた。
恐らく、あと5メートルも走る事は出来なかっただろう。最後の最後までエネルギーを燃やし続ける事が出来る。
それもまた、箱根の魅力であり「魔力」でもある。

数秒遅れて、博多大の田島が3年生・兒玉へと襷を渡す。
最後はフラフラになりながら、秋英の襷も8区の中西に繋がった。


平塚中継所 7区終了順位(丸数字は個人区間順位/タイムはトップとの差)

1位    栄京女子大学   岩永亞美②
2位    乃木坂大学     西野七瀬①       +0:05
3位    四ツ谷大学     佐々木優佳里④    +2:02
4位    聖ヴィーナス大学 横島亜衿⑥       +2:32


14番目 慶育大学      谷口めぐ          +12:04
14位   博多大学      田島芽瑠⑳        +12:11
15位   秋英学園大学   森川彩香⑩ +12:20



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