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73.

箱根駅伝を語る上で欠かす事が出来ないのが、数々の輝かしい記録だけでない。
途中棄権や大ブレーキ。選手の心に植えつけられる深い傷…
無責任な外野はそんな残酷なドラマさえ求める。
強烈な光と影とのコントラスト。筋書きのないスポーツだからこそ、それは人々の心を揺さぶる。

今年の場合、それは往路における慶育大の途中棄権だった。
過去一度も途切れる事のなかった名門の襷が途切れた。
涙にくれる後藤萌咲。何とか前に進もうとするその肩に、監督車を飛び降りてきた横山がそっと手を置くシーンは何度も何度もニュースで取り上げられた。
ドラマはそれだけでなかった。
途切れた襷。しかし、慶育のランナーは決して前へ向く事を放棄しなかった。
まるでそれが定めかのように、繰上げの襷を必死に繋いだ。
2区の中野郁海と5区の小嶋真子は参考記録ながら驚異的といわれている区間記録を大きく塗り替えたし、4区の田野優花も区間賞を取った四ツ谷大・西野の記録を上回るものだった。

そして、その小さな身体で山を駆け下りてきた坂口渚沙もその勢いを確実に身に纏っていた。同時にスタートした繰上げの4校だけでなく、20キロの間に更に5校もの選手を追い抜いてきた。
トップとの差は縮まっていた。さすがに区間新にあと2秒まで迫った聖ヴィーナス・内山のタイムを上回る事こそ出来なかったが、目の前には見慣れたユニフォームがいる。秋英学園大の田北が蛇行しながら中継所へのアプローチに入ろうとしているところだった。

6区でのブレーキは過去何度もある。途中棄権も少なくないが、その殆どが残り3キロになってからの区間に集中している。箱根の山は登りよりも、むしろ下りでその牙を剥く。ハイスピードで走る選手を路面からの衝撃が容赦なく襲う。そして、消耗しきった下半身の筋力は残り3キロの平坦路で選手の意思を伝える事を頑なに拒否するのだ。

ましてや、その中に競り合いの精神的消耗が加わるのだ。初めての箱根で、その厳しい状況に潰されてしまっても無理はない。名門・秋英の選手であってもそれは同じだ。

坂口が中継所の直前で田北をかわしていく。坂口も1年生だ。田北と同じようになっていてもおかしくなかった。紙一重の差だった。ナイフの背をギリギリの所でバランスを取りながら走っている。それが箱根6区の恐ろしさだ。


秋英のピンクの襷も何とかつながった。坂口から谷口めぐへと繋がれた繰上げの襷に続き、田北から7区の森川彩香へ。

来年のシード権は上位10校に与える。かつて2強と言われた慶育だけでない。結果が出なければ秋英であっても同じ目にあうのだ。森川の顔には相当な緊張があった。
今の順位は11位。
本来はこんな順位を競うために走っている場合ではない。
しかし…上位を争うよりも、もっと厳しい戦いになる…
それが箱根の「もう一つのドラマ」。
シード権争いだ。



小田原中継所 通過順位 (丸数字は区間順位)


1位 聖ヴィーナス大学  内山奈月①    -
2位 四ツ谷大学     込山榛香③   +0:02
3位 栄京女子大学    熊崎晴香④   +0:02
4位 乃木坂大学     齋藤飛鳥②   +1:47
5位 博多大学      本村碧唯⑦   +3:57

11番目 慶育大学     坂口渚沙    +9:07
11位 秋英学園大学    田北香世子⑮  +9:55


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