スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

14.

「ちょっと!何やってるの?しっかり走らないと!まさか、昼ごはん後で寝てるんじゃないでしょうね?」
拡声器から荒れた声が響いてきた。

やれやれ…玲奈さん…荒れてるなあ…

それでなくても古畑は焦っていた。

登りに入ってピッチが上がった。
前を行くみずほと真夏は元々登りも強い。宮前は去年5区区間2位の実績もある、いわば山のエキスパートだ。ワタシだって、余り得意ではないとはいえ栄京のエースとしてここで遅れる訳にはいかない。

横を見た。
生田がいる。スピードもあり終盤の粘りもある。登りも強いと思えば、下りでのスパート力にも定評がある。まさに、オールラウンダー。ある意味、私たちが最も警戒すべきランナーだ。昨年の乃木坂躍進の原動力は、、この子の1区区間賞がもたらしたと言ってもいい。その向こうには主将の桜井。宮前がライバル心を燃やす若月。二人とも、杏実の高校時代のチームメイトだ。絶対に負けたくない相手のはずだ。それだけでない、スピードクイーンと呼ばれ、昨年2年生で箱根の最短区間の4区の区間新をたたき出した西野。生駒、白石、高山…主力どころのほぼ全員が顔をそろえている。

それに対し、栄京のメンバーは、私と杏実の二人だけ。
徐々に上がっていくピッチに、ウチの選抜メンバーはどんどん脱落していった。
こりゃ、今晩予定されてる両校懇親会はお通夜だわ…

そんな日もある…でも、せめて私だけでもここに残らなくちゃ。
折り返して下りに入った二人とすれ違う。
二人とも笑ってる?そんな風に感じた。
それほど、山田と秋元の走りは軽快だった。

宮前、桜井、若月に続き、古畑も少集団で折り返し点を回った。
すぐ正面に、辛そうな市野や江籠、岩永、二村の顔が見える…
そう思っていた古畑は自分の目を疑った。

最初にすれ違ったのは、乃木坂の橋本。Bグループに入って2分遅れでスタートしたはずだった。その後に集団が続く。Aから遅れたメンバーではない。橋本と同じBグループに入っていたはずの、惣田紗莉渚、小石公美子、髙寺沙菜、福士奈央…栄京の1年生だった。橋本と並ぶように走ってるのは2年生の熊崎晴香。堀や寺田蘭世といった乃木坂の2年生もいる。
必死な形相なのは、その子たちだけではない。先頭を走る橋本も同じように苦しい登りに歯を食いしばっていた。

「ななみ!アンタね…しゃーない。玲香、ペースアップ!いけるね?」
「わーってるよ。下りだからって楽しようなんて思ってないよ。」
再び集団の勢いが増す。

古畑も宮前も、ここで置いていかれる事となった。

「どっちが上が思い知らせる…か…」
古畑の独り言は小さかった。しかし宮前にはしっかり届いていた。

そう…彼女達の力は、決して勢いだけではない。
ウチの1.2年生だってそうだ。
いつまでも、アンダーメンバーとしか見ていなかった。

思い知らされたのは、私たちの方なのかもしれない…


15. | Home | 13.

Comment

Post comment

Secret

Page top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。