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18

「すみません…どうしても起き上がれなくて…」
「わかった。今日はゆっくり休んでるんだぞ?後で様子を見にいかせるから。」
芝が忌々しそうな顔で電話を切った。
近くにいたスタッフを呼びつけ、乱暴な口調で指示を与えていく。

「ふぅ…」
芝が、大きなため息をついた。今日が珠理奈のいる全握で良かった。JR両方不在の全握なんて、考えただけでもぞっとする。
しかし…そういや、ずっと体調が悪いって言ってるなあ…
まあ、どうせ事務所の差し金だろう。SKEでは数少ない外部事務所所属の玲奈だ。なかなか扱いも難しい…


「嘘ついちゃったよ。いいのかなあ?」
「だって、そうでもしなきゃ。昨日だって、また倒れこんでたじゃないですか。私、もうそんな姿見るの辛くて…」
宮前がホテルの窓の外に広がる景色を眺めながら言った。
玲菜の顔をなかなか直視できないままだ。
最近そうだ。どうしても玲菜の顔をまともに見ることができない。
その澄んだ目の透明感が、病気による衰弱から来るものだと知っているからだ。

「はい…あ、ありがと。今、行くね。」
宮前がかかってきた携帯に答え、玲菜のほうを振り向く。
「玲奈さん、タクシー来ました。私も一緒に行きますね。今日、私握手会のメンバーじゃないし。」
「ありがと、杏実。なんかごめんね、心配ばっかかけちゃって。」
「いいんですよ。何言ってるんですか。」

宮前が辺りを警戒するように視線をめぐらせる。
日曜の朝、ホテルのロビーはそこそこの人手があった。
恐らく、これから都内の観光へ出かけていくのだろう。
ディズニーランドに向かう家族連れもいるだろう。ひょっとしたら、地方から握手会の為に遠征してきれる人が泊まってるかもしれない。


そんな中、まるでスパイのような大げさな変装を施した玲奈が、タクシーに滑り込むように乗り込んだ。




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「まったく、いちいち大げさなんだよな。お前は。」
「仕方ないだろ。一番早いのはコレんだし。」
司馬が呆れたように俺を見る。
まあ、顔は笑ってるから、いつものように仕方ないという程度にしか思っていないのだろう。

「今日、間違いなく来るんだな?」
「ああ。さっき連絡が入った。今朝一番でメンバーの宮前杏実から電話があって、玲奈をつれてくってさ。」
「わかった。じゃあな、行ってくる。」

俺は昨日から学会の発表で浜松にいた。
司馬も一緒だ。
そこへ突然連絡が入った。今から松井玲奈が診察を受けにくるという連絡だ。握手会を当日キャンセルしての受診だ。かなり深刻なのかもしれない。
「すぐに行くから…と伝えろ。1000万も握らせてるんだ。何とか理由をつけて俺が診察できるよう手配しとけよ?」
「抜かりはないよ。まあ、心配はいらん。昼行灯みたいなヤツだからさ。お前が行くだけで喜んで何でも言う事聞くだろうさ。」

俺は司馬に軽く手を振った。
すでにプロペラを回していたヘリに乗り込む。
40分もあれば、東京に戻れるだろう。


俺は妙な感情に包まれていた。
玲奈に近づく事が出来る…その高揚した気持ちと、どこか胸騒ぎのような感覚。
その感覚は、間違いなく医者としてのアンテナが受信しているものから来ている。

箱で推せ! 横アリ1日目 | Home | 17

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