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「智也さん…どうすればいいですか?コレ…」
「ああ…プレゼント…だよな?玲奈への。」
「今まで花束とかのプレゼントは多くありますけど。さすがにコレは…それでレギュレーションでは総額1万円までって決まりもありますし。」
劇場支配人の芝智也が、腕組みをしたまま困惑の表情を浮かべていた。
名古屋・栄にあるSKE48劇場。
その楽屋からロビーが薔薇の花で埋め尽くされていた。

「しかも、珍しいですよね。玲奈ちゃん宛てに薔薇の花って。かすみ草ってのはよくありますけど」
「コレ…全部でいったい幾らくらいするもんなんだ?」
「ああ、ソレ、僕も気になったんで配達してきた業者に聞いたんですよ。なんでも、紫糸の薔薇って高いらしいですよ。まあ、100万じゃきかないって言ってました。」
「100万?いったい、どんな石油王だよ。まあ、仕方ない。送り主が匿名なら、返却のしようもないからな。今日はE公演だ。まあ、玲奈もさすがに喜ぶだろ。」

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ぐっ…おえっ…
つぅぅぅぅ…

まただ…
最近、こんな風に痛みが急にくるようになってきた。
背中から腰…そして胸。

おかしいなあ。
こないだ、調子悪くなった時ちゃんと検査してもらったのに。
ただの疲労だって。そう先生言ってたし。
なのに、何でこんなに?


松井玲奈は、バッグから錠剤を取りだした。
残り少なくなった瓶の中から、3粒を手のひらに乗せた。
痛み止めの頓服だ。
手の上にある錠剤をじっと見つめて、しばらく考える。
玲奈は、更に2粒を手のひらに乗せた。
定量は1粒。効き目が弱くなってきたと思えば、2粒。
そして3粒…

もう5粒飲まないと効きそうにない。
水と一緒に喉に流し込む。

大きく深呼吸をして背伸びをする。

大丈夫…今日も、大丈夫。
私はステージに立てる。





「玲奈さん…大丈夫ですか?」
突然、声をかけられた。

ビックリした。
…いや、驚いてるのは、この子たちか…
見られちゃった…かな?

古畑奈和と宮前杏実が心配そうな顔で顔を覗き込んでいる。


「大丈夫、大丈夫。なんか、昨日飲み過ぎちゃったみたいでさあ。参った参った。歳はとりたくないよね~」
「玲奈さん…なな子に聞きました。ずっと…ずっと体調悪いんですよね?」
「なな子に?もう…嫌だなぁ。なな子って大袈裟だから。」
「玲奈さん。病院、行ってるんですよね?ちゃんと検査とかしてるんですよね?」

奈和…
最近、私を見る目が違う事は気付いていた。
意識してるって言うのかな?

心配をかけちゃいけない。

「検査?ちゃんとしてるよ。健康診断のデータ見せよっか?ちょっと貧血気味で、痩せすぎで、血圧低いし。でも、極めて健康だよ。大丈夫。お酒はほどほどにします~」




玲奈さん…お酒なんか飲まないのに。
絶対に、どこか身体におかしい所があるに違いない。
でも…玲奈さんがそう言うなら、私はそれ以上何も言えない…


「奈和が言えないなら、私が言う。いいね?」
「杏実…ちょ…ちょっと。玲奈さんが何もないって…」
「玲奈さん。お願いします。もう一回病院行ってください。休んでください。困るんです。最近の玲奈さん、スゴイです。いや、前からスゴイですけど。あーーーーーウマく言えないのが悔しい!でも…なんか、今にも壊れて…消えてしまいそうで…困るんです。玲奈さんに何かあったら…」

普段からはっきり物を言う性格のコだ。それが杏実の良い所。
でも、今日はちょっと違う。
口調は強いけど、どこか何か戸惑ってるような口調。

「ゴメンね。リーダー失格だね…みんなに心配かけちゃって。わかった。もう一回、ちゃんと診てもらってくるよ。だから、杏実。泣かないでよ。」

え?杏実が泣いてる?
古畑は、宮前の方を見た。



ボロボロ涙を流す顔がそこにあった。
こんな風に大泣きするのを見るのは、いつ以来だろう?



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