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「それでは、これより腎移植手術を行います。司馬先生。レシピエントの確認をお願いします。」
「秋元康、男性、50歳。移植に際してのABO不適合は認められません。提供ドナー状態により、当手術は死体腎移植となります。」
「ありがとうございます。では、開腹します。メスを…」

「あのぉ…なんで司馬先生が助手側に立ってるんですか?」
「ん?おかしいか?この手術の執刀医は院長って書いてあるだろ?」
AKB48G総合プロデューサー・秋元康の腎移植手術が第一手術室で始まった。階上の見学室では、進藤をはじめ、数人の若手のドクターがその様子を見守っていた。移植手術そのものは難しい手術ではない。しかし「炎のメス」と異名を取る司馬の手術は見学希望者が絶えることがない。

「いえ…でも、第一で手術する時は司馬先生が…」
「まあ。見てろって。」

「開腹。対象…状態を確認。当初所見より違和なし。術式変更の必要は…認めずだな…。いいですか?司馬先生。」
「私も同じ所見です。問題ありませんね。」
「はい、了解です。では…後をよろしくお願いします。」

「あれ?あれれ?院長、行っちゃいましたよ?」
「ま、そういう事だ。移植手術自体は、丁寧にやりさえすれば問題はない。それじゃなくても、司馬の腕は抜群だからな。まあ、院長が腹開けるのは、いわばVIPへのエクスキューズみたいなもんだよ。」
「なんか…ちょっと残念だなぁ。」
「おいおい、幾らなんでも全部の患者の腹を院長が切るとでも思ってたのか?」
進藤が苦笑する。
「いや…なんかブラックジャックによろしくでこんなシーンがあったなあって思って…」
医局のやり方に不満を抱えてドロップアウトしてきた連中ばかりだ。目の前のお代官様的対応に違和感を感じたのだろう。
「あのな、俺もお前と同じ位の年ならそう思ったかもな。しかしな…」
「いや…俺もそんな無粋な事言わないですよ。ただ、院長って、なんかスーツ着て営業みたいなことばっかしてるような気がするんですよねえ。」
「ん?院長の腕が…って事か?」

進藤が腕組をしたままモニターから目線を外した。
「お前、俺や…ほら、司馬の手術見てどう思う?」
「進藤先生や、司馬先生ですか?いや。俺からしたら神様のような存在にしか思えませんよ。」
「神様か…俺や司馬が神様なら…」

進藤が立ち上がった。
モニターの中では、司馬が全く無駄の無い動きで、手術を勧めている。

「あの男は…界王神…ってとこかな。わかるか?」

「か…?界王神…ですか?」
「ああ。神様の神様みたいなもんだな。知らないか?ドラゴンボール。」
「え…いえ…」

進藤が白衣のポケットに手を突っ込んだまま、見学室を後にした。


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