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「ふぅ~っ…」


ステージの裏で大きく息を吐いた。
吐いた分の息を、今度は取り返すかのように、やはり大きく息を吸う。

一度…二度…三度…


「やだ、玲奈さん。そんな緊張しないでくださいよ~あかりまで緊張してきちゃう。」
「え?あかりんでも、緊張することあるんだ?」
「だって~…しますよぉ。でも…やるっきゃないですけどね。」

東京ドームのステージ裏。
大島優子を中心とした選抜メンバーのMCをモニターで聴きながら、須田亜香里と松井玲奈が並んでモニターをチェックしていた。
5大ドームツアーも終盤。今日と明日の2日間を残すのみだ。
この後、総選挙で選抜に選ばれたメンバーが一人ずつソロ曲を披露していく。
MCの後、最初に登場する須田亜香里の「シンクロときめき」は、間違いなく観客の驚きを呼ぶはずだ。
間に8曲を挟んだ後は、玲奈の枯葉のステーションだ。
もう、何度歌ってきただろう?
でも、この東京ドームという舞台が、玲奈の緊張を一層強いものにしていた。

しかし…
深呼吸をしたのは、気持ちを落ち着かせる為だけではない。

このツアーのリハが始まる頃…いや、痛みに変わったのは、その頃だが、年の初め頃から感じていた背中の違和感…丁度右の肩甲骨の辺りに纏わるつくような違和感。それを紛らす為に、いつの間にか習慣ついてしまった事であった。


「あ。出番だ~。玲奈さん、行ってきます!」
「あかりん!頑張って!」

玲奈が須田の背中をそっと押した。
震えている…
でも、あれはきっと武者震いだな。うん。
だって、早く出たい早く出たいって顔、ず~っとしてたもん。

ほら…
じゃなきゃ、あんな笑顔、出来るわけないじゃん。

モニターの中に、亜香里の弾けるような笑顔が溢れた。



よし、私も。
玲奈は、もう一度大きく息を吸った。

大丈夫。
痛みはない。
違和感も完全に消えた。

やっぱり、この景色だ。
真っ暗な海に広がる、サイリウムの海。

この景色は最高なんだから。


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