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おいおい、こんなブロック意味ないって。一見、頑丈に見えても、ちょっとしたハッカーなら簡単に破れるんだよ。高さの同じブロックを何重にしたって意味ないってのは、セキュリティの原則なんだけどなぁ…
僕じゃなくたって、AKBに興味を持ったヤツがちょっとしたハッキングの技術持ったらこんなもの…

僕はヒルトンの部屋に戻り、かおたんから借りたPCを使ってAKBGのネットワークシステムの中に侵入を試みていた。相当手こずる事を予想したのだが、全く手ごたえが無い。逆に心配になってしまう程だ。
まず、玲奈・かおたん・舞との一連の絡みを消す事からだ。かおたんは、相当優秀なスキルを持っていた。ハッカーとしてというよりは、システムヲタクとしてのスキルなのかもしれないけど。
それをちょっと使わせてもらった。僕達は、あの時間帯、それぞれ違う場所に居た。僕はバーを出てそのままホテルに真っすぐ帰ったし、玲奈はE公演の後、明日の握手会に備えて真っすぐ帰宅。舞は一日バイトだ。かおたんは…敢えて、消息不明って感じにしておいた。彼女なら大丈夫だろう。

全部を解明出来た訳ではないが、僕達(恐らく彼女たちメンバーも監視されているのだろう)は、人の目だけで監視されている訳ではなさそうだ。もちろん、「誰かが」僕達を張っていた事は間違いない。しかし、人の目だけで監視しているのであれば、少なくともかおたんが張ったトラップだけで、あそこまでの混乱は起きないだろう。逆に言うと「人の目」では監視していない…という事にも推察出来るのだが。

かおたんのPCは、そのもののスペックは結構陳腐なものだった。これで、良く動画を編集し投稿してたよな…僕は彼女にプレゼントする事を約束したPCを自分の家にあるお古から選ぼうかと思っていた。もちろん、無事に家に帰れたらの話だけど。
このスペックではハッキングなんかしようにも、なかなか上手くいかない。なので、僕は手っ取り早く近くにあるもっとスペックの高いシステムを「乗っ取る」事から始めた。
今の世の中、全てのネットワークはどこかで何かの繋がりを持っている。それを、色んな壁を作ってエリア分けしてるだけに過ぎないんだ。僕は、恐らくこの辺りで最もハイスペックのコンピュータの「機能」を拝借する事にした。別に近くじゃなくたって構わないんだけど。地理的にっていう意味では。金沢郊外にあるIBMのデータセンターに潜り込んでもいいし、シリコンバレーのMSやシスコ本部でもいい。でも、僕は「地元」に拘った。まあ、ゲン担ぎのようなものだ。
10分程ネットワークを弄ると、画面にトヨタ自動車のスーパーコンピュータにアクセスした事が表示される。京の単位の計算を27億分の1秒で行う事が出来るコンピュータだ。これなら、作業がはかどる事間違いない。

僕が驚愕したのは、そんなスパコンを使うまでもない程陳腐なセキュリティに守られている割に、中に潜んでいる情報が実に生々しいものだった事だ。
そこには、彼女たちを「洗脳」する為のプログラムがあった。古今東西ありとあらゆる方法で効果を上げている、全ての洗脳手段によって、いかにして彼女たちの精神と身体を蝕んでいったかを克明に記録したデータだ。誰が、いつ、どのプログラムを受け、どの程度まで洗脳が進んでいるかを100段階で査定している。

ちゅり、あかりん、ぱるる、りっちゃん…
みんな数値は「100」だ。

そして、その各人データには、こんな項目があった。
一次開拓数、二次覚醒数、ミッションクリア数。それぞれが、クリックすると時系列に獲得(?)した数がどれだけなのかが分かるようになっている。
この数字が何を意味するのか…僕は、その先を辿ろうとする。

-----------ピィン--------------------
システムがエラーを返す。ココから先は、別のデータベースにアクセスする必要があるという意味だ。
そこへは、後ほど侵入するとして、別の気になってる事を先に調べよう。
僕のデータだ。玲奈は僕の事を「特別な人」と呼んだ。
もし、玲奈が違う意味でそういう風に僕の事を思ってくれたら、きっと僕は天にも昇る気持ちになるだろう。しかし、この場合は違う。なぜ「彼ら」…今は、その正体がわからない。仮にそう呼んでおこう…が、僕とメンバーに関係を持たせる事に失敗を許さない、そう求めているのか。


-----------ピィン--------------------
ここもシステムエラーだ。なるほど、小枝を隠すには森の中か…
そう考えると、ここのセキュリティが弱いのも頷ける。
しかし、AKBGの大スキャンダルに間違いなく発展する、このソースが軽いレベル…となると、この奥にはどんなおぞましい秘密が隠されているのだろうか…

これも…エラーだろうな…
僕は、卒業したメンバーで消息が公にされていないメンバーの事を調べてみようとした。
矢神久美、小木曽汐莉、間野春香、山田恵里伽、中村優花、赤枝里々奈、藤本美月…

システムはすぐに答えを返した。
玲奈の言葉が頭をよぎる…

「…そうじゃない人間は…生きる価値すらない…そう教わりました。」

なんとしても…
どんな事をしても、これ以上彼女たちを損なわせてはいけない。
僕が果たすべきは、まさにそれだ。

僕は、その先へと歩を進めようとした。
自分のデータを取りに行ってみるか…
僕は蜘蛛の巣のように張り巡らされたネットワークの海を、まるでサーフィンでもするかのように渡って行った。時々巧妙やトラップを見つけては、それを避け、時には潰して前に進む。
いつもやってる事だ、特に大きな問題はない。
トラップには幾つかの法則がある。人間が作り出したトラップだ。必ず逃げ道はある。
そして意外に簡単な所に。誰もが、目にした事があるだろう。機密情報が入ったPCのパスワードを付箋に書いてモニターに貼っておくような人種もいる事を。

-----------ピィン--------------------
-----------ピィン--------------------
-----------ピィン--------------------
-----------ピィン--------------------

何度やっても同じだ。同じ場所で何度も跳ね返される。
おかしい…僕が今やっているのは、Aのドアを見たら鍵がかかっていた。じゃあ、Bに回ってみよう。Bもロックされている。じゃあCだ…そんな作業だ。なのに、どのドアに行っても、必ず「ここはAのドアです。ロックが掛かってます」というアナウンスが聞こえてくるのだ。

こんな事は今まで無かった。一度たりともだ。
いや…あった…な。正確に言うと「聞いた事がある」だ。
あの9.11後、ウサマ・ビン・ラディンによるテロが米国防総省(ペンタゴン)によって仕組まれたものだという事実を暴こうと旧東側諸国が莫大なギャランティで世界中の精鋭ハッカーに依頼をした時の話だ。
「ペンタゴン・トラップ」として、誰も解明する事が出来なかったという、いわば「伝説」だ。

この話…
とんでもない裏がありそうだ。

こうなった時、ネットワークの世界だけで解決策を探しまわるのが、並のハッカーだ。
優秀なハッカーは、そうではない場面から打開策を見つける事が出来る。
そう…リアルな世界だ。

僕はゆりあモデルのTIMEXに目をやった。
時間は朝の5時ちょっと前。まだ寝てるだろうな…
僕は芝さんにメールを打つ事にした。
恐らく、かなりワガママを言ってもすんなり通るに違いない。

何しろ、僕は「特別」なのだから。




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