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自宅のマンションから新幹線乗るなら、品川からが一番近い。
でも、僕はいつも東京駅から乗る事にしている。
東京駅地下にある、今半の駅弁を買って車内で食べるのが楽しみだからだ。

ちょっと寝坊しちゃった事もあって、指定席を取っていた新幹線の発車ギリギリになってしまった。
僕は切符を見ながら自分の座席を探す。

平日のお昼すぎなのに、新幹線はかなり混みあっていた。
と言うより、東京名古屋間の新幹線がガラガラに空いてる事なんてあるんだろうか?
15号車6番の…B…と。僕は三人掛けの真ん中のシートに腰を下ろした。
両隣りに誰も来ないまま、新幹線は発車した。多分、品川か…新横浜で乗ってくるんだろう。僕は大して気にもせず、テーブルを出し今半の弁当を広げた。

外は今日もいい天気だ。本当は新幹線に乗る時はEの席をキープしたいところだ。
こんないい天気なら、きっと雪をかぶった富士山が綺麗に見える事だろう。
弁当を食べながらそんな事を考えていると、すぐに新幹線が品川駅に入った。
ここでも、沢山の人が乗ってくる。車内の空いている席が殆ど埋まった。
僕は両隣の席に誰かが来るんだろう…と思い、弁当を食べるのを一旦止めたが、どうやらその気配はない。おかずで一番楽しみにしてる豚肉を甘辛く煮たものに箸をつけようとした。

「すみません~奥いいですか?」
多分、他の車両から乗り込んで来たんだろう。品川を発車して、ちょっとして僕の隣の席のチケットを持った人が現れた。二人ともマスクをしているが、見た感じ若い女性、二人組だ。発車直前に指定を買って、並びの席が取れなかったというパターンなのかもしれない。

「どうぞどうぞ。」
僕は弁当を手に持って、テーブルを仕舞った。立ち上がって女性のうち、1人を窓際に通す。もう1人と席を交代してあげようか…そう一瞬思ったが、もう一人は座席に荷物を置くと、すぐに居なくなってしまった。トイレにでも行くんだろう。僕はそのままBの席に戻り、再び弁当を食べ始めた。

窓際の女性が、マスクを取り、んんん~っと小さい声を出して軽く背を伸ばした。
その声が、なんとなくユーモラスで僕は思わず、その女性の方に目をやった。それに気付いたのか、女性も思わず笑みを漏らす。
逆光にも関わらず、その笑顔はキラキラ輝いていた。僕は「文字通り」息をのんだ。数秒、呼吸も止まっていたに違いない。目の前に、島崎遙香の笑顔があったのだから。


「はー間に合ったあ。危なかったよお、漏れるかと思いました。」
座席で固まったまま、ぱるるに見惚れていると、賑やかにもう一人が席に戻ってきた。
僕はその子を見て、もう一度目を見開く羽目になった。
「しっ…りっちゃん。そんな事言うもんじゃないでしょ。もう…はしたないんだから。」
「あ、いっけね。あ…今聞いてたでしょ?この人。」

いや、聞いてたも何も…僕の席はここなんだから…聞きたくて聞いてた訳じゃなく…
悪戯っぽい笑顔で僕の隣の席に勢いよく腰掛けたのは、川栄李奈だった。
「ごめんなさい。この子、本当に失礼で…」
「あはははは。ごめんなさい~」

僕の幸運は続いているようだ。今をときめくトップアイドル二人に挟まれて弁当を食べている…
そんなラッキーな環境がそうあるとは思えない。
ただ…一つ困った事がある。せっかくの今半の駅弁なのに、全く味を楽しむ余裕が無くなってしまった事だ。


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