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握手会の翌日はなかなか仕事モードに入るのが難しい。
もちろん、やらなくてはならない事はいつだっててんこ盛りだ。
僕の「表の顔」はネットワークエンジニア。主な業務は「設計・構築」だ。

社内インフラから操業システム。官公庁のネットワークなんかの仕事も結構ある。
ただ、このところは大きなプロジェクトも入ってきておらず、比較的平和な日々が送れている。
もっとも、先日の一件のように保守のトラブルに駆り出される事が多いのだけど。

「先輩、今日は機嫌良さそうですね。」
オフィスのデスクは一人ひとりパーテーションで囲まれている。作業に集中しやすくするためだ。設計したシステムの簡単なテストも出来るよう、かなりのスペースがある。
「おお、正美か。そうか?いつもと変わんないけどな。」
同じチームの後輩、入社2年目の椛沢正美がコーヒーカップを両手に持って僕のスペースの入口に立っていた。
「ちょっといいですか?」
「ああ。午前中は特に急ぎの案件はないからな。」

僕は正美と一緒に社内のリフレッシュルームに向かった。
本格的なエスプレッソマシンや、マッサージチェアが備え付けてあり、大きな窓からはベイエリアの光景が一面に広がっている。月曜の午前中という事で僕と正美の二人しか利用者はない。

「こないだは悪かったな。おかげで助かったよ。」
「いえ、公演どうでした?」
「いや~良かったよ。生誕祭は初めてだったからね。ああ、そうだ、ちゃんとお土産買ってきたからさ。」
「ホントですか?」
正美の笑顔が眩しい。朝の光が入ってくる窓の明るさに負けていない。
「ああ、丁度月別写真の販売日だったからな。ちゃんとトレしてコンプにしといたからさ。」
「やったぁ。すみません、わざわざトレまでしてくれたって。」
「いいんだよ。いつもシフトとか合わせてくれるから。ほんのお礼だよ。」
正美もSKEのファンだ。ヲタとまではいかないけど、木本花音の事が好きらしい。

「ねえ、先輩。今夜遅くなります?」
「ん?いや、特には。まあ、さすがに定時って訳にはいかないだろうけど。」
「じゃあ、写真のお礼させてください。ご飯付き合ってくださいよ。」
「おい、お礼って。写真位でさそんな気にしないでいいよ。むしろ、お礼をしなきゃいかんのは僕の方だし。」
正美が笑顔のまま、ちょっと身を寄せてくる。
朝、シャワーを浴びてきてるんだろうか?シャンプーの香りがふわっと漂う。
「じゃあ、お礼して…もらえませんか?」
「わ…わかった。いいよ。何食べたい?」
「お任せしま~す。やったぁ。じゃあ、先輩、ワタシこれで。頑張って仕事片付けなきゃ。」

前から正美が僕に好意を寄せている事には気付いていた。でも、それは単なる仕事で頼りになる先輩として…そう思っていた。もちろん、実際はそうではないのだけど。その押した引いたの男女の駆け引きへの知識が全くなかった。何しろ、生まれて27年、女の子と付き合った事がないのだから。

奇跡的にヒマな一日だった。
僅かにあった軽い打ち合わせや、資料作成のMTGが悉くリスケになった。
おかげで、僕は夜の正美とのデートの店選びにたっぷり時間をかける事が出来た。
もちろん、女の子の喜ぶ店なんて、どうやって探せばいいかわからない。
だから、インターネットの情報だけが頼りだ。しかし、今のネットでは人しれない大当たりを見つける事に関しては難しいが、外れのない所を探す事はそんなに難しくない。

僕は東京タワーにが良く見える、センスが良く、そんなに高級そうでない多国籍料理の店をセレクトした。

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