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プロローグ

何度来てもここの空気には慣れないな…

秋元康は4フロア分が吹き抜けになったエントランスに入り天井を見上げた。
建物に入るまでに、何重にも及ぶチェックを受けている。大して中身の入っていない鞄だが、その度に中身を全部出さなくてはならない。それだけではない。財布の中身はお札の一枚一枚を検査官の目の前で広げなくてはならないし、カード類は全部その内容を控えられる。さすがに、下着姿になれとは言われないが、飛行機の搭乗ゲートにあるものよりはるかに金がかかっていると思われる重厚な探知機を通る事が必須となっている。

秋元はエントランスまで迎えに出た秘書官に連れられて、階下の部屋へ案内された。毎回違った部屋に通される事はもうわかっていたが、そこが地下何階にある部屋なのかすらわからない。しかし、秋元にとって驚きなのは、何回来ても毎回違う部屋に通されるだけの部屋数がこの建物の中に存在するという事だ。
科学技術の粋を集めた万全のセキュリティ体制と世界中の機密情報が集約するであろうこの施設の一角にいる…秋元を緊張させていたのはその事実だけではない。
これから会う人物の存在感に、秋元はいつも圧倒させられてしまうのだ。


「お待たせしました、秋元先生。」
男が部屋に入ってきた。そのまま下座に着席する。
この男の上座に座る事になるのも緊張を強める理由だ。「先生」と呼ばれる事も。
銀幕で活躍する兄に似た端正な顔立ち。ややワイルドさを帯びているのは、政界という魑魅魍魎が跋扈する世界で揉まれているせいだろうか。その言葉の一言一言に説得力が溢れている。これは父親から受け継いだDNA
の賜物であろう。

「いえ、お約束頂いた時間通りです。1分の違いもない。さすがですね。」
「はははは。時間管理は秘書の仕事ですからね。彼らが優秀というだけですよ。」
この男が若くして人望を集めているのは、こういう所だろう。時間コントロールも本人がそれを把握し、星の数ほどの陳情から重要な打ち合わせ、プレスへの対応等を対応していかなくては上手くいかない。しかし、この男はそういった事を決して自分の手柄にしない。その潔さは、ある意味政界においては貴重なものである。近い将来、間違いなくこの首相官邸の主となるに違いない…誰もがそう信じて疑わなかった。

だからこそ、この国家的プロジェクトを発動した父親から、その総責任を負う地位を引き継いだのだろう。

「さて…本題に入りましょうか。今回も進捗の報告から。その後に、新しく“エージェント”入りするメンバーとその特性についてを。」

小泉進次郎が上着を脱ぎ、シャツの袖を捲り上げた。

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